ビジネス

2022.05.28 17:00

香港のビル内部の巨大ハイテク農場「Farm66」を作った起業家たち


化学肥料を使わないアクアポニクス農法


今年初め、Farm66は中国の広東省珠海市に拠点を置く中国政府の横琴金融投資集団(Hengqin Financial Investment)からも資金提供を受け、共同創業者のラムの母校の香港城市大学のスタートアップ支援プログラムHK Tech 300 Angel Fundにも選出された。また、昨年はフォーブスがアジア太平洋地域の新興企業を選出する「Forbes Asia 100 to Watch」の第1回にも選ばれた。

Farm66は、葉物野菜やハーブ、果物などを一般的な肥料の代わりに魚の排泄物を用いる「アクアポニクス農法」で栽培している。アクアポニクス農法は、魚の排泄物を栄養源として植物を栽培し、その植物が魚の生息する水を濾過する循環型の農法だ。

Farm66が栽培した野菜はスーパーマーケットやホテル、高級小売店などで販売されている。同社には最近、学校や民間団体から、キッチンや小さなスペースで自分たちの野菜を育てたいという問い合わせも寄せられている。

香港理工大学で都市開発の修士号を取得したタムは、「私たちは、都市農業とESGを推進し、人々の生活の質を向上させたいと考えている」と話している。

Farm66は、すでに地元のトップ銀行とも連携しており、不動産開発会社のSinoグループやChinachem(華懋集団)、Henderson Land Development(恒基兆業地産)らとも協力し、都市型の農業システムを普及させていくとタムは述べている。

ParticleXのツォイは、香港に加えてマカオや、中国政府が「グレーターベイエリア」と呼ぶ広東省南部の沿岸地域が、Farm66の将来の市場になると考えている。海外進出を視野に入れるFarm66は、輸送用コンテナを利用した移動式農園を中東の砂漠地帯に送り出す計画も練っている。

「テクノロジーを活用した農業のポテンシャルを、可能な限り多くの人に伝えていきたい」とタムは語った。

Written by John Kang and Zinnia Lee 編集=上田裕資

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