米株式相場はダウ工業株30種平均が1932年以来最長の8週連続で下落するなど、歴史的な下落局面にある。インフレ圧力や利上げへの懸念から投資家の心理がいちじるしく悪化し、米経済がリセッション(景気後退)入りするおそれも強まっているためだ。S&P500種株価指数もドットコムバブルが崩壊した2001年以来で最長の7週連続で下落している。
こうしたなか、ヘッジファンドのパーシング・スクエア・ホールディングスの創業者で最高経営責任者(CEO)のアックマンは24日、FRBは激しいインフレに歯止めをかけられておらず、信頼を失っているとツイッターでやり玉に挙げた。
「相場が崩れているのは、FRBがインフレを食い止めることに投資家が確信をもてていないためだ」とアックマンは指摘。4月の米消費者物価指数(CPI)が前年同月比8.3%上昇したことに言及し、インフレは制御されていないとの認識を示した。
インフレを抑えるにはFRBがもっと踏み込んだ措置を講じるしかないとの考えも示し、そうしなければ株式相場は暴落し、米経済はリセッションに陥るだろうとも警告した。
アックマンは、FRBの現行の金融政策やフォワードガイダンスは投資家を「相場の暴落か大幅な利上げによってしか阻止できない2桁の物価上昇率の継続」に備えさせるものになっていると分析。これが今の市場では誰も株を買おうとしない理由だと説明している。
アックマンは、FRBが物価上昇率に上限を設け、必要なことは何でもやると宣言して初めて、市場の下方スパイラルは収束すると主張。FRBは「インフレという魔物が瓶の中に戻るまで」利上げを継続する必要があるとの考えも示した。
FRBは今月、22年ぶりとなる0.5%幅の大幅な利上げを実施した。市場では6月も同程度の利上げが見込まれている。アックマンは「インフレが暴走する時期は過ぎたと投資家が確信をもてしだい、相場は急騰する」と予想し、「FRBが正しいことをすると期待しよう」と記している。