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2022.05.25

テスラ株が急落、時価総額はピークからほぼ半減

テスラCEOのイーロン・マスク(Getty Images)

テスラの株価が24日、大幅に下落し、約11カ月ぶりの安値をつけた。アナリストが目標株価を引き下げたことなどが嫌気された。

テスラ株はこの日、前日比約7%安の628ドルで取引を終えた。昨年11月の史上最高値に比べると49%低い水準で、時価総額は1日で300億ドル(約3兆8000億円)あまり吹き飛んだ。ピーク時に1兆2000億ドル(約152兆円)を超えていた時価総額は足元では6500億ドル(約82兆5000億円)ほどまで縮んでいる。

急落のきっかけになったのは、大和のアナリスト、ジャイラム・ネイサンによる目標株価の引き下げだ。ネイサンはテスラについて、「ギガファクトリー」がある上海のロックダウンや、オースティンやベルリンの工場に影響をおよぼしているサプライチェーンの問題によって、以前の見通しよりも収益が悪化すると予想。これまで1150ドル(14万6000ドル)としていた目標株価を800ドル(約10万2000円)に下方修正した。

ネイサンは、これらの逆風によってテスラの今年の納車台数は以前の予想よりも18万台押し下げられ、120万台にとどまるとの見通しも示している。

テスラ株をめぐっては、ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブスも23日、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)によるツイッター買収が「サーカスショー」と化し、テスラ株の大きなオーバーハング(大株主による株式大量売却の臆測から上値が抑えられる現象)を生んでいると指摘。テスラ株への投資家の忍耐は限界に達しつつあるとの見方を示していた。

テスラの株価は昨年11月にマスクが保有株の約10%を売る意向を示して以降、大幅に下落。米金利の上昇によって市場全体が苦境にあるなか、値崩れがさらに進んできている。年初来の下落幅は47%に達し、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の29%よりもさらに悪くなっている。

一方で24日には、カリスマ投資家として知られるキャシー・ウッド率いる投資会社アーク・インベストメント・マネジメントが、テスラ株を1000万ドル(約12億7000万円)分買い増したことも明らかになった。同社のテスラ株取得は今年2月以来。

テスラは株価が低迷する半面、先月発表した2022年1〜3月期決算は純利益が33億ドル(約4200億円)と過去最高を更新している。納車台数が過去最多になったことが寄与した。

フォーブスによると、世界一の富豪であるマスクの足元の純資産額は推定1990億ドル(約25兆3000億円)。

編集=江戸伸禎

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