英政府、サル痘感染者の同居人らに21日間の自主隔離を勧告

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英保健安全保障庁(UKHSA)は5月20日、サル痘感染のリスクが高い人に21日間の自主隔離を勧告した。対象となるのは、感染者の同居者と、直接的な接触があった濃厚接触者、感染者の体液や汚染されていた可能性のある衣類・寝具類などに直接、接触した人など。

そのほか新たなガイドラインでは、濃厚接触者で直接的な接触がない人(飛行機ですぐ隣に座っていた、など)の場合も、その後21日間はほかの免疫力が低下している人、妊婦、子どもとの接触を避けるよう勧告している。症状が出ない場合には、自主隔離の必要はないという。

UKHSAのスーザン・ホプキンス首席医療顧問は、性的パートナーが一定ではない人、面識がない人との濃厚接触があった人は誰でも、発疹が出た場合には届け出ることを勧めている。

各国で感染が拡大


サル痘はこれまで、まれな感染症とされてきた。症状は高熱や悪寒、痛み、特徴的な発疹など。成人が重症化することは少ないとされ、大抵は1カ月以内に自然治癒する。

これまで主に感染が確認されていた西アフリカと中央アフリカでは、ネズミのような動物を介して感染が広がっていたとみられている。ヒトとヒトの間では、咳やくしゃみによって、または感染した人の外傷(傷口)に触れることや、性的接触などによって感染する。

今回のサル痘の流行がこれまでと異なるのは、従来の流行地域への最近の渡航歴がない人が感染していることだ。そしてこれが示唆するのは、英国やその他の国々で、サル痘の市中感染が起きているということだ。

だが、専門家らは、サル痘が「新たな新型コロナウイルス感染症(Covid-19)」になったわけではない」としている。科学ニュースサイトのライブサイエンス(LiveScience)も、サル痘に「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ほどの感染力はない」と伝えている。

また、米NBCニュースは21日、「サル痘ウイルスは何十年も前から知られており、(類似したウイルスである天然痘の)ワクチンと治療法によって、大流行を抑えることは可能だ」とするケント州立大学のタラ・スミス教授(疫学)の話を伝えている。

英国ではすでに、サル痘感染が確認された人の濃厚接触者に対するワクチン接種が開始されている。UKHSAのホプキンス首席医療顧問は、「感染者が発症してから4〜5日以内に、発症リスクが高いと思われる人(濃厚接触者)に接種を行っている」と説明。

さらに、英国内全体に感染が拡大するリスクは依然として、「極めて低い」との見方を示している。ただ、市民は「警戒する必要がある」と述べ、「症状が出た場合には、ほかの人との濃厚接触を避け、医師の診察を受けてほしい」と呼びかけている。

編集=木内涼子

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