米ベストセラー作家のダニエル・ピンクは、オンライン講義「マスタークラス」で行った説得の技術に関するレクチャーで、「人が仕事で一日の間に何をしているかと見てみると、それは営業だ」と指摘した。「医師や看護師は、患者に何か違うことをするよう売り込んでいる。上司は、部下にあることを別の方法でするよう働きかけている。教師は、生徒を説得している」
ピンクのチームが行った調査では、ビジネスの世界では大半の人が、約40%の時間を他人の説得や感化といった営業に近い行為に費やしていることが示された。
しかし朗報もある。ピンクとゴリサノによると、営業スキルの向上は誰でもできるのだという。優れたセールスパーソンは、「教育」と「単純化」、「インスピレーション」という3つの能力を持っている。
・教育
ゴリサノは、1970年にペイチェックスを立ち上げたとき、小企業が給与処理を外部の企業に委託するべき理由を説明することで、サービスを売ることができた。売り上げのために、教育者の役割を演じる必要があったのだ。優秀なセールスパーソンは優秀な教育者であり、商品やサービス、アイデアのメリットを説明できる。
・単純化
事業が複雑化してくると、難しい技術や情報、商品を単純化するスキルがあれば、他と差をつけられる。ペプシコのインドラ・ヌーイ前最高経営責任者(CEO)は、複雑なアイデアを誰もが理解できる言葉に変える能力があったことで、キャリア初期に注目を浴びることができたと語っている。物事を簡潔に説明できる人は貴重な存在だ。
・インスピレーション
自分の商品やサービスに関して情熱を持つ起業家やビジネスリーダーは、他人をわくわくさせることもできる。学校で、自分が気に入っていた教師のことを思い出してみよう。その教師は、自分が教えていることについて熱意を持っていたはず。教師が持つ情熱に、あなたも感化されたのだ。
肩書きにこだわらないこと。営業のスキルは、起業家や小企業のオーナー、リーダーの成功に欠かせない。ダニエル・ピンクが言うように、「私たちは今や、誰もが営業をしている」のだから。