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2022.05.23 11:30

ウォール街の株式専門家が予測する「最悪のシナリオ」

Travis Wolfe / Shutterstock.com

景気後退への懸念が高まる中、ウォール街の専門家たちは7週連続の下落を続ける株式市場がさらに悪化する可能性を警告している。

大手小売業者らが、インフレが利益を圧迫していると警告し、米連邦準備制度理事会(FRB)が高騰した物価が下がるまで「躊躇なく」金利を上げ続けると宣言したことで、景気後退への懸念は急激に高まっている。

そんな中、ドイツ銀行のグローバル戦略チーフストラテジストのビンキー・チャダは、最近のメモで「近い将来、経済が不況に陥った場合、S&P500種株価指数は3000まで急落する」と予測した。これは、現在の約3900から24%の下落を意味する。

チャダは、S&P500の目標株価を現状よりも20%高い4750としており、年末までに「救済ラリー」が起こると予測しているが、長引く相場の下落がリセッションにつながるリスクを警告している。

ゴールドマン・サックスの米国株ストラテジストのデビッド・コスティンは、景気後退になれば株式市場の損失はさらに膨らむと述べ、今後2年以内に景気後退が起こる確率を35%としている。彼によると、第2次世界大戦以降の12回のリセッションにおけるS&P500の下落率は、中央値で24%で平均では30%だったという。

このパターンに基づけば、株式市場は現状の水準からさらに11%から18%下落する可能性があると、コスティンは直近のノートで予測した。

一方、バンク・オブ・アメリカのストラテジストは、成長の鈍化と物価高が組み合わさるスタグフレーションの到来を警告し、これがS&P500が約18%マイナスの3200まで下落するという「最悪のシナリオ」につながる可能性を指摘した。

「インフレは、なかなか終わらないことが実証されており、過去のFRBによるインフレ抑制狙いの利上げの11回中8回(約73%)は、景気後退につながっていた。FRBはこのリスクを認識している」とドイツ銀行のチャダは述べた。

最近の市場の下落は、FRBによる積極的な利上げの見通しと相まり、「景気後退の恐怖を高めている」とムーディーズ・アナリティックスのマーク・ザンディは述べている。彼は、今後の景気後退入りの確率について、12カ月で33%、24カ月で50%近くという同業他社よりも悲観的な見方をしている。

バンク・オブ・アメリカのストラテジストのサビタ・スブラマニアンは昨年末に、「景気後退のリスクが市場を支配している」と述べ、投資家に警戒を呼びかけた。現在の市場環境は、スタグフレーションの可能性が高まっているだけでなく、投資家が「通常では考えられないことを受け入れる傾向」が強まっている点で、2000年のドットコムバブルの時代と非常によく似た状況にあるという。

編集=上田裕資

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