日英ハーフの「子役」として脚光を浴びるハリソンだが、彼の活躍ぶりは爽やかで愛くるしい演技だけに止まらない。
自ら開設したメディアでフードロスや気候変動について発信をしたり、自主的に自宅周辺のゴミ拾いを行うなどしたりして環境問題にも関心が高く、国連食糧農業機関(FAO)が2021年に開催したワールド・フード・フォーラムでは、「環境問題に取り組む次世代」として紹介された。
この4月には、地球規模の課題を議論する国際会議「ストックホルム+50 ユース会議」に参加し、登壇者らへ自身の疑問をぶつけた。
さらに夏には、ハリソンが作家としてもデビューする。環境問題をテーマとする絵本『地球をまもるって どんなこと? 小学生のわたしたちが、おとなになるまでにできること』(KADOKAWA)を刊行する予定で、現在、日本科学未来館とAIを専門とする東京大学の松尾豊教授の研究室監修のもと、制作を進めている。
また、9歳にして英語、日本語を操るバイリンガル。前述のように国際舞台でも活躍するジョージ・Y・ハリソンとは、どんな少年なのか。
いまでこそ子役だけでなく、地球環境問題への発言や行動など多方面で活躍するハリソンだが、以前はかなり内気な性格だったという。
「スーパーマーケットやお菓子屋さんに行って人と話すだけでも緊張していました。一緒にエレベーターに乗る人がいると、僕が降りる時に転んで恥ずかしい思いをしてしまわないかなどと、不安をすぐに感じてしまうタイプでした」
母親は「私がかなりの心配性なので、それが幼い時にうつってしまったのかもしれない」と話す。
そんな引っ込み思案のハリソンに変化が現れたのは7歳から8歳の頃だという。「いまの彼のいちばんの強みは、周囲を気にしないことです」と母親は語る。本人も、ここ1〜2年で他人からの評価が気にならないようになったことを実感している。どのような出来事が彼を変えたのか。
父親の死に遭遇して生まれた好奇心
「とにかく新しいことを体験したいと、いつも思っています」
そう語るハリソンは、サッカーや水泳、乗馬、囲碁など趣味の幅も広い。いまはインターナショナルスクールに通っているが、興味を持っているのはメタバースや地理だという。
実は、その好奇心を呼び起こしているのは、数年前に直面したがんによる父親の死だったという。母親が次のように語る。
「父親の死に遭遇して、彼は『誰でも明日がある保証はない。だから人の評価を気にしてやりたいことを我慢したりするより、いまの自分の考えに自信を持って、行動したほうがいい』と感じ始めたのだと思います」
また学校生活で起きた出来事も、ハリソンに影響を与えたのだという。彼が語る。