「バイデンは、4年間酔っ払うために大学へ行く余裕などなかったブルーカラーの労働者たちに、ジェンダー研究のような役に立たない学位をとるために持ってもいない何万ドルも費やすことを選んだ、アッパーミドルクラスの子どもたちの尻ぬぐいをさせようとしているようなものだ」。トランプ・ジュニアはワシントン・ポストでそう語っている。
トランプ・ジュニアはここで、大規模な学生ローン免除に対する主要な批判のひとつに言及している。政府が学生ローンを帳消しにすれば、大学に行かなかった、あるいは経済的理由から大学に行けなかった国民が、そうすることのできたひと握りの選ばれた人の学生ローンを支払うことになるではないか、というものだ。こうした主張をする共和党員は多い。最新の統計によると、実際、米国の成人では学生ローンを抱えていないか、そもそも大学に行かなかった人がおよそ8割を占める。
バイデンが大統領になってから、連邦学生ローンの借り手は1ドルも返済を求められていない。連邦議会が2020年3月に新型コロナウイルス感染症対策の一環で学生ローン救済法案を超党派で可決し、トランプに続きバイデンもこの法律に基づく学生ローンの支払い一時停止措置を延長してきたからだ。現行措置の期限は今年8月31日となっている。
バイデンは大規模な学生ローン免除を検討しており、数週間以内に自身の決定を発表する可能性がある。もっとも、バイデンが実際に学生ローンを帳消しにする保証はなく、資格者の条件がどうなるかもわからない。民主党の急進左派は、学生ローン免除は景気の刺激や格差縮小につながるほか、借り手が結婚して家庭をもったり、家を買ったり、あるいは老後の貯蓄をしたりするのを後押しできると訴え、バイデンに実現を求めている。
一方、共和党はこれまで学生ローンの帳消しや支払猶予の延長に強硬に反対してきた。下院教育労働委員会の共和党筆頭委員であるバージニア・フォックス議員は大規模な学生ローン免除は誤りだと断じ、トム・コットン上院議員は学生ローン救済の延長は「ひどい考え」だと一蹴している。ほかの共和党議員らも、大規模な学生ローン帳消しは典型的な富の再分配だとしてやり玉に挙げている。