スレッドアップは、自社の「リセール・アズ・ア・サービス(Resale-as-a-Service:RaaS)」プラットフォームを通じて、シャネルのバッグや、マイケル・コースの衣類、グッチのアクセサリー、ナイキのシューズといった高級ブランドのファッションアイテム中古品を販売している。
米調査会社ニールセンによると、アフリカ系米国人たちの非食料品の購入先は、ウォルマートやターゲットなどの大型小売店が最も多く、全体の34%を占める。ということは、低価格のブランド品は、そうした顧客のうち、インフレによる物価上昇に苦慮する人口層に喜ばれる可能性がある。ターゲットとしては、510億ドル規模のリセール市場に食い込みたい考えだ。
ターゲットとスレッドアップが提携するのは、これが2度目だ。両社は2015年に半年だけ手を組み、古着のオンライン販売を行っていた。
米労働省労働統計局によれば、黒人世帯の家計支出において、衣類が占める割合はおよそ3%だ。それを踏まえれば、波に乗るスリフト(中古衣料品などのリサイクル商品を販売する)のオンラインショップが、消費者が節約しながら流行にも乗り遅れずに済むような方法として、大手小売業者と再び提携することは驚きではない。ましてや、リセール市場は2023年までに510億ドル規模に成長する見込みであることが、スレッドアップと小売専門調査会社グローバルデータ・リテールの調査でわかっている。
スレッドアップは、オンライン最大のスリフトショップを自称しており、2000におよぶブランドの商品75万点以上を取り扱っている。両社が提携して立ち上げたオンラインショップでは、ターゲット独自ブランドのレディースと子ども服40万点のほか、スレッドアップが取りそろえた全米ブランドならびに高級ブランドの商品が購入可能だ。
経済・金融情報サイト「シーキング・アルファ」によると、スレッドアップの最高経営責任者(CEO)ジェームズ・ラインハートは2022年3月、RaaSの提供先クライアント数は28に増加したと、アナリストに語っている。2021年の提供先クライアント数の伸び率は30%を超えた。マッキンゼーのリポートによれば、中古アパレル市場は今後10年で10%から15%拡大する見込みだ。
古着販売で利益を拡大
ターゲットは、今回の古着オンラインショップ立ち上げにより、これまでも順調だったeコマース事業の収益をさらに伸ばすことができる。2021年には、デジタル全体の売上が20.8%増加した。古着販売は、同社の利益拡大を後押しするかもしれない。ターゲット株価は2022年に入って以降、5%以上の下落となっている。
スリフトショップはもはや、低所得者層が買い物をする場所とはみなされていない。ビンテージや一点物の商品を探し求めて足を運ぶ中流層が増えているのだ。ターゲットは、自社eコマースプラットフォームで、そうした人口層により良いサービスを提供するすべはないかと模索している。
ファッションにうるさい若者たちのあいだでは、掘り出し物を見つけたり、サスティナビリティのために消費を抑制したりする手段のひとつとして、中古品にますます注目が集まっている。ターゲットが小売業界情報サイト「リテール・ダイブ」に対して述べたところによると、同社にとって中古品の販売は、取り扱い商品の選択や、価値提案の仕方を含めて、顧客により良いサービスを提供する手段を模索するやり方のひとつだ。それと同時に、自らが掲げるサスティナビリティの目標を目指す手段でもある。