大坂なおみは長者番付「異例」の存在、続く女子選手は現れるか?


女性アスリートが「稼げない」理由


スポーツ選手の長者番付は、ほぼ男性で占められている。そうなる理由のひとつは、女子スポーツは男子に比べ、メディアへの露出が少ないことだ。そのため企業がマーケティングの予算を振り向けるのは、主に男性アスリートとなる。

フォーブスの推計では、大坂とセリーナ以外で昨年、競技以外で少なくとも1000万ドルを稼いだ女性アスリートは、ビーナス・ウィリアムズ(1100万ドル)と体操のシモーネ・バイルズ(1000万ドル)の2人だけだ。

こうした状況のなかで、大坂とセリーナの2人がどちらもテニス選手であることは、偶然ではない。企業のロゴが入った彼女たちのテニスウェアは、テレビ画面に社名やロゴを映し出したい広告主たちにとって、不動産でいうところの“一等地”だ。

また、大坂が高額の収入を得ることには、彼女が日本生まれであることも一役買っている(野球選手としては破格の約2000万ドルをフィールドの外で稼いでいる大谷翔平を見ても分かるとおり、日本はマーケターがスポーツ界のスターに喜んで大金を出す国だ)。

南カリフォルニア大学マーシャ経営大学院のデビッド・カーター教授(スポーツビジネス)は2020年、フォーブスに対して次のように語っている。

「(大坂は)若く、多文化の背景を持っている。この2つの特性は、彼女が世界中の若者たちの共感を呼ぶことを助ける。それが、スポーツマーケティングにおける世界的アイコンの誕生という結果につながっている」

大坂やウィリアムズに続く女性アスリートがいつ誕生するのか、それが誰になるのかは分からない。だが、その女性がどのスポーツの選手になるかについては、予測ができる。

フォーブスが1990年にこのランキングの発表を開始して以来、「最も稼ぐ女性アスリート」がテニス選手以外だったことはない。

編集=木内涼子

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