英国では今月上旬、今年初のサル痘感染が報告され、これまでに9人の感染が確認されている。英保健安全保障庁(UKHSA)のスーザン・ホプキンス主席医療顧問は「まれで異常」な状況だとし、感染源の特定を急いでいると述べている。
医療系ニュースサイト「スタット」によると、サル痘はスペインでも8人の感染が疑われ、保健当局が調査を行っている。ポルトガルでも20例が調査されており、うち5例では感染が確認されたという。
スペインの保健当局者は英紙ガーディアンの取材に、サル痘ウイルスが大規模に広がっているとは考えにくいものの、その可能性は「排除できない」と語っている。
サル痘はナイジェリアで2017年以降に数百人の感染が報告されているが、米国や欧州に広がることはほとんどなかった。米国の昨年の感染者はわずか2人で、いずれのケースもナイジェリアへの渡航と関連づけられている。
だが、英国で今年感染が確認された9人は最近の海外渡航歴がなかった。そのため、英国内で市中感染が起きているのでないかという懸念が浮上している。サル痘ウイルスはヒトからヒトにはうつりにくいとされる。
UKHSAによると、最近の感染者の大半はゲイやバイセクシュアルの男性だという。ただ、サル痘自体は性感染症には分類されておらず、感染する場合は通常、粘液などの体液や呼吸器飛沫が感染源になる。
英国での致死率は1%足らずと推定され、大半の患者は発熱や頭痛といった初期症状の発症から数週間以内に回復しているという。サル痘では水痘や梅毒のような発疹が生じ、体の一部に広がることもある。