シュピーゲルとモデルで実業家のミランダ・カーの夫妻は、ロサンゼルスにある美術大学オーティス・カレッジ・アート&デザインを今年卒業する学生の学生ローンを全額肩代わりする。夫妻の基金「シュピーゲル・ファミリー・ファンド」を通じて行った寄付で賄われる。寄付額は公表されていないが、報道によると1000万ドル(約13億円)を超えるという。
夫妻からの寄付については、オーティスのチャールズ・ハーシュホーン学長が卒業式で明らかにした。一度の寄付としては開校以来最大だという。ハーシュホーンは、今回の寄付は学生ローンの負担が重くのしかかる卒業生にとって「救済」になると謝意を表した。2022年度の卒業生は約285人だという。
シュピーゲルはスタンフォード大学に進学する前、高校時代にオーティスの授業に出ていた。
夫妻は「オーティス・カレッジ・アート&デザインは、若いクリエーターが自分の芸術表現を見いだし、さまざまな業界やキャリアで成功するのをあと押ししているすばらしい教育機関です」とたたえ、「2022年度の卒業生に恩返しし、彼らを支援できることをわたしたち家族は光栄に思っています。今回の寄付が、卒業生たちが情熱の対象を追求し、世界に貢献し、長く人類にインスピレーションを与えていく力添えになればと考えています」と述べている。夫妻はこの機に同大の名誉学位を授与された。
オーティスは今回の寄付を元に、学外から教育ローンを借りている卒業生に寄付する基金も設立する予定だ。オーティスは学生の77%が有色人種と、全米でも有数の多様性に富んだ大学となっている。奨学金を利用している学生は9割を超えるという。
ジョー・バイデン大統領は近く、大統領令による学生ローンの大規模な減免を発表するとみられているが、対象者は制限される可能性がある。学生ローンは全米で約4500万人が利用しており、その合計残高は1兆7000億ドル(約220兆円)超に達する。新型コロナウイルス感染症対策で導入された学生ローン救済措置は、今年8月いっぱいで打ち切られる予定となっている。