本当に効果的なバリューには、論理的に否定する余地がある
上記はMark Zuckerberg氏がポッドキャストで最近言ったことですが、個人的に非常に納得できました。「正直であれ、みたいなバリューは当たり前すぎてあまり役に立たない」とも言っていましたが、確かにまともな企業であれば当然、社員に正直さを求めるでしょう。掲げられるバリューの数は限られているので、他とは違うけれど、良い企業として合理的に実行できるものを選ぶべきだということです。
また、良いバリューというのは、他の何かを諦めた上で追求できるものでもあります。例えば、Facebookでは「素早く行動し、破壊せよ」(Move Fast And Break Things)という有名なバリューを以前掲げていましたが、これは「素早い行動を促進できるなら、多少の不具合は許容する」という意味でもあります。
Coralのバリューにも、「Do Well By Doing Good:良いことをして、良い結果を出す」というのがあります。LP投資家や自分たちのためにお金を稼ぐのが事業の目的ではありますが、誇りを持てる形で稼ぎたいと私たちは考えています。実際、高いリターンが得られそうであっても、世の中に良い影響をもたらすと思えなかった案件は、過去にいくつも辞退してきました。
強固なカルチャー作りは、プロダクト・マーケット・フィットやビジネスモデルを無事確立し終えた組織のリーダーにとって何よりも重要で、レバレッジが最大に効く仕事かもしれません。
にもかかわらず、カルチャー作りに十分な時間を割けていない経営陣が多いのが現実です。「誠実さ」のように印象が薄くて曖昧な、ありふれたバリューを決め、素通りされるだけのポスターを社内中に貼って満足してしまっているのです。
しかし、強固なカルチャーには企業の今後の軌道や潜在的な成長性さえも完全に変えてしまうほどの影響力があるので、真剣に取り組んだほうが良いと私は投資先の起業家たちにも常日頃から強く勧めています。
ある程度のステージになれば、カルチャーそのものが「プロダクト」になる日が来るでしょう。それ自体が企業を動かす「OS」になるのです。だからよく考えて構築し、バグを減らし、うまくいかなければ機能をいくつか削ぎ落とすことも恐れず取り組み続けましょう。
連載:VCのインサイト
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