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2022.05.19 06:00

評価額330億ドルの英フィンテックRevolutが「独自のVC」を設立

英国のデジタル銀行「レボリュート(Revolut)」のカードとアプリ(Ascannio / Shutterstock.com)

ヨーロッパで最も評価額が高いスタートアップの1社を立ち上げた30代のビリオネアが、AI(人工知能)を活用した独自のベンチャーファンドを設立し、伝統的なVCに対抗しようとしている──。

英国のデジタル銀行「レボリュート(Revolut)」の創業者のニコライ・ストロンスキー(37)は、独自の投資ファンドのQuantum Light Capitalを立ち上げ、他の投資家とともに約2億ドルを投資する。

レボリュートは、昨年7月にソフトバンクとタイガーグローバルが主導した調達ラウンドで18億ドルを調達し、評価額は330億ドル(約3.6兆円)とされていた。リーマンブラザーズとクレディスイスで働いた後に同社を立ち上げたストロンスキーは、ディープラーニングを使って有望なスタートアップを見つけ出そうとしている。

ロシア出身で現在は英国籍のストロンスキーの保有資産を、フォーブスは71億ドルと試算している。「私は、過去8年間の起業家としての経験から、既存のVCの世界が時代遅れだと感じている」と、彼は述べている。

ストロンスキーは、昨年6人のデータサイエンティストとエンジニアたちを雇い、リンクトインなどのデータベースから、急成長中のスタートアップを探し出すことに成功したという。米国のSocial Capitalや欧州のEQTベンチャーズ、Blossom Capitalなどの投資会社も、数年前から同様の手法で新たな投資先を見つけている。

既にフランスのユニコーンにも投資


ストロンスキーは、昨年6月にVisaが21億ドルで買収したスウェーデンのフィンテック企業のTinkや、昨年5月の資金調達でユニコーンになったフランスのデジタルヘルス企業Alanなどにエンジェル投資家として初期投資を行ってきた。

彼は、Quantum Lightファンドの立ち上げによって、レボリュートに投資したソフトバンクやタイガー・グローバルなどの大手VCに対抗することになりそうだ。

ストロンスキーは共同創業者のVladyslav Yatsenkoと共に、2015年にレボリュートを立ち上げ、旅行客が旅先で支払い通貨を選択できるカードの提供を開始した。同社はまだ黒字化を果たしていないが、1800万人以上の顧客を抱え、旅行保険やホテルの予約、暗号通貨のトレーディングにまで手を広げ、欧州を代表するスーパーアプリになることを目指している。

レボリュートは、ヨーロッパの10カ国以上で銀行免許を取得しており、送金や住宅ローンに加え、後払いサービスへの参入も表明している。しかし、英国の金融行為規制機構(FCA)は、レボリュートの暗号通貨のトレーディングに懸念を示し、このことが、英国での銀行サービスの本格的な立ち上げの遅れにつながったと報じられている。

編集=上田裕資

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