そんななか、東京・三田の駐日ハンガリー大使館で5月17日、ルービックキューブの発明者、エルノー・ルービック氏の自伝『四角六面』(エルノー・ルービック著、久保陽子訳、光文社刊)の出版記念イベントが、ジャーナリストの池上彰氏の進行により行われた。
「ルービック」はハンガリー人建築家のエルノー・ルービック氏の苗字から名付けられたもの。当初この玩具は「マジックキューブ」という名前だったが、アメリカに展開する際に「マジック」が使えないとなり、発明者であるルービック氏の名前を冠して「ルービックキューブ」として発売され、その名前で文字通り世界中に広まり、何十億人もの人がこれで遊んだとされている。
これまで世界で3億5000万個を売り上げている「世界的玩具」ルービックキューブ(編集部私物)
ルービックキューブは「ルービック氏」の発明だった!
「ルービック」という名前はハンガリーでもハンガリー国外でもよくある苗字ではないが、苗字と必ずしも認識されることなく、奇しくも世界で誰もが知るハンガリー人の名前となった。
ルービック氏はルービックキューブを、芸術カレッジの教師をしていた1974年に考案。1977年にハンガリーの玩具会社から商品として発売された。日本では1980年に発売、大ブームとなったが、コロナ禍でブームが再燃したという。著書『四角六面』では、ルービックキューブが生まれた経緯をはじめ、ルービック氏の育った環境や両親、好奇心と創造性の関係、創造性を育む教育などについても言及している。
同イベントではパラノビチ・ノルバート駐日ハンガリー大使が挨拶。ハンガリーは人口一千万人ほどの国だが、ノーベル賞受賞者数が人口比率で見ると大変高いこと、また、新型コロナウイルスのワクチンとして世界中で使用されている「mRNAワクチン」開発の基盤を作ったのがハンガリー人女性性科学者カタリン・カリコ博士など、科学分野でのハンガリーが素晴らしい功績を誇っていることを紹介した。
また、日本に初めて来た20年ほど前は、ちょうどルービックキューブが流行していた時期だったが、日本人でルービックキューブがハンガリー人による発明であることを知っている人はほとんどおらず、「日本人の発明ですよ!」と大使に話す人もいたというエピソードを披露した。