日本の少子化・人口減は長らく大きな問題とされ、将来に暗雲が漂うと言われてきましたが、一向に「改善」は見られません。一方、日本企業の生産性や組織の問題も指摘されているにもかかわらず、こちらもさしたる変化は見られません。この2つの問題ですが、無関係ではなく、実はつながっているのです。
これらの重大な問題をこのままにしておけば、「日本が消滅する」前に、あなたの会社も消えてしまう、そんな危機感を持ったほうがよいかもしれません。
まだまだ存在する保守的な意識
少子化・人口減のなかでも、「男性の育休」というわかりやすい課題から見ていきましょう。
男性の育休で先を行く企業では、「採用に困らなくなった」「不要な残業が減った」「生産性が上がった」といった効果が報告されています。また「キッズ・ファースト企業」を掲げる積水ハウスのように、自社のブランディングに活用することもできます。
見過ごされがちですが、男性の育休のような問題に挑むことは、企業にとって経営革新のチャンスにもできるのです。
とはいえ、社会の現実はというと、育休を取りたいという男性は多いのですが、実際に取得した男性はまだ少なく、2020年度の民間企業の実績としては12.65%にとどまります。取得した人も短期間が多く、5日未満が3割近くを占めています。
ところが、今回のマスクのツイートの直前に興味深いことが起こりました。今年4月からの法改正により、企業は男性従業員に育児休業の取得を促すことを強く求められるようになりました。
さらに取得に対して懸念を抱いた政府の有識者会議は、これでは不十分だと、男性が育休を取りやすくなるよう、改正法が実施された直後の4月26日にさらなる見直しを提言しました。
日本の企業では、男性が育休を取得することに否定的な経営者や管理職が少なくありません。上司を説得する難しさや、育休後に職場復帰できるのか不安に感じると訴える声もよく聞きます。育休を取らせない、あるいは短くさせる「圧」のある職場も多いのが実態です。このように、組織には「空気」という得体の知れない魔物がいるのです。