米中間選挙、中絶の権利が新たな争点に 情勢さらに複雑化

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米国の有権者が直近3回の選挙で最大の関心事に挙げていたのは「経済」だった。だが、実施まで半年をきった中間選挙に向けて別のテーマが大きな争点に浮上している。女性の人工妊娠中絶の権利だ。中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド」判決を連邦最高裁判所が覆す公算が大きくなっているためだ。

調査会社SSRSとCNNテレビが最近実施した世論調査によると、中絶や女性の権利に対する与党・民主党の姿勢は米世論の多数派の姿勢と一致しており、11月8日投開票の中間選挙でも有利にはたらく可能性がある。一方で、依然として重要な経済に対する見方では共和党に分がある。

具体的な数字を挙げると、5月初め時点で中絶に関しては成人の44%が民主党の考え方に近いと答え、共和党のほうが近いとした人は32%にとどまった。より広範な女性の権利については、民主党の考え方に近いと答えた人が45%にのぼり、共和党の考え方に近いとした人はわずか29%となっている。

だが、経済については46%が共和党の考え方に近いと答え、民主党のほうが近いとした人は31%にとどまった。移民に関しても、共和党の考え方に近いと答えた人が42%、民主党の考え方に近いとした人が34%と、共和党のほうが上回っている。

投票権や選挙の公正性については、民主党の考え方に近いと答えた人が41%、共和党に近いと答えた人が38%でほぼ拮抗する結果となっている。

中絶制限問題は民主党に追い風になりそうだが、歴史的に与党は中間選挙で議席を減らすことが圧倒的に多い。ジョー・バイデン大統領の支持率が低迷していることもあり、民主党は女性の権利をめぐって支持を集められても上下両院の優位を失う可能性がある。

ネットメディアのアクシオスによると、連邦上院選ではネバダ、ペンシルベニア、アリゾナ、ジョージア各州で接戦となる見通し。選挙分析を専門とするオンラインニューズレター「クック・ポリティカル・リポート」によれば、連邦下院選では26議席が「五分五分」の状況とされ、うち18は民主党の現有議席となっている。

編集=江戸伸禎

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