長谷川曰く、価値の最大化に軸を据えることは、自身からほとばしるエネルギーやパッションに忠実になるということ。すなわち、「生き様」そのものを肯定し続けることでもある。
だからこそ、価値観を共有できるパートナーや環境を正しく選ばなければならないという。重要視しているのは、相手が自分の価値を深く理解しているか否かだ。なぜなら、価値とは相手の感じ方次第だからである。つまり、大切なのは、自身という「個」と、自身が関係する組織やコミュニティがもつそれぞれの価値観とのかけ合わせによって、最も閃光を発する「配線」をつくることなのである。
「価値観を共有できるかどうか。これがすべてです」
「ドーパミンドリブン」で自分を由縁とした生き方を
青砥瑞人 DAncing Einstein代表
「新しいルネッサンス時代が始まると思います。そのときのキーワードは『自由』です」
脳神経科学を人材育成などに応用する事業などを手がける、DAncingEinstein代表、青砥瑞人は言う。イノベーション、サステナビリティ、ウェルビーイング……。いまや、企業の経営にはさまざまな命題が重くのしかかる。
いずれのコンセプトも、従前のように、働く人たちを集団ととらえ、トップダウンで人事管理していたのでは、立ち行かないものばかりだ。集団主義から個性尊重主義へ。ただ、個の重要性は語られるが、個の引き出し方や、そのかけ合わせで、その解を見いだしている企業は多くはない。
では、そのルネッサンスはどのように起きるのか。
14世紀、イタリアで起こったルネッサンスは、多様な価値観が流れ込むことで、個の勃興、個と個の交わり、そして、真の人間性への回帰という「価値の大転換」が起こった。同じことが組織で起こるとするならば、その多様な価値観の大元になるのが、個それぞれのもつ「自由」なのではないか。
「自由というのは、自分勝手というニュアンスが強いですが、実は、『自らを由え(理由)』とするというのが元の意味。つまり、人は自由になったときに、自分自身で感じ、考え、動くことが求められるんです」(青砥)
青砥はそれを、「ドーパミンドリブン」という言葉で表現する。ドーパミンは、興味関心をもつことで分泌されやすくなる神経伝達物質。つまり、内発的に何かに対してやる気を出したときに分泌され、モチベーションに寄与するものだ。