ビジネス

2022.05.15 17:00

「メタバース版ディズニー」を目指すキャラクター企業Superplasticの挑戦


バーチャルとリアルの両方を事業領域に


バドニッツは、2002年に玩具とエンターテインメントの会社KidRobotを設立し、2013年に売却した経歴の持ち主だ。彼は、2014年に広告のないSNSプラットフォーム「Ello」を共同創業し、10年前にはバーリントンで自転車店「Budnitz Bicycles」を始めたが、パンデミックを受けて店を閉じていた。

Superplasticのキャラクターは、1913年から1944年まで新聞に連載された過去のコミックキャラクターからインスピレーションを受けている。同社の前進であるKidRobotは、10年以上にわたりさまざまな番組やブランドとコラボを行い、「ザ・シンプソンズ」や「アイアンマン」「サウスパーク」などのフィギュアを生み出した。また、フォルクスワーゲンやルイ・ヴィトン、ナイキ、バートンのグッズを手がけていた。

バドニッツは、それらの取り組みを通じ、「IP(知的財産権)を手放してはならない」という、教訓を学んだという。「過去を振り返ると、アーティストが素晴らしいアイデアをどこかの大手に売った場合、そのスタジオが利益を独り占めして、台無しにする場合が多かった」と彼は語る。

アバターやデジタルのセレブの人気は、ますます高まっている。3月には、元ディズニーCEOのボブ・アイガーが、自分の3Dアバターを作成できるGenies社に出資し、役員に就任することを発表した。一方、ハリウッドの大手のエージェンシーが、BAYC(退屈した猿のヨットクラブ)やMeebitsといった人気のNFTから生まれたキャラクターのマネージメントを行い、それぞれのコレクションが独自のブランドやネットワークを持つようになっている。

近年のデジタルグッズへの関心の高まりは、長年、ビニールトイなどの限定グッズの制作・販売を手がけてきたバドニッツにとって絶好のタイミングと言えそうだ。

2019年にSuperplasticに投資したクラフト・ベンチャーズのブライアン・ローゼンブラットは、バドニッツについて、「アートやエンターテインメント、ビジネスに対する優れた見識を持つ、クリエイティブな天才だ」と述べている。

Superplasticは最近、BAYCとのコラボによるビニール製のトイを発表した。また、6月にニューヨークでオープンする予定の実店舗には、NFTオーナー向けのシークレットルームを用意するという。さらに、寿司レストランの立ち上げや、「コメディ要素のあるヒップホップ系のホラーアニメ」の制作にも取り組んでいる同社は、バーチャルとリアルの世界の両方で事業を拡大している。

Superplasticのキャラクターのファンたちは、映画や音楽だけでなく、メタバースの中の世界でも、その魅力に親しんでいくことになりそうだ。

編集=上田裕資

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