冒頭で「4月から高校の家庭科の授業で金融教育が始まった」ということを書いたが、実はこの表現は正確ではない。実は家庭科の授業のなかでは既にお金の「計画と管理」については教えていたのだ。
これが金融教育として認識されないあたりに、日本の金融教育の捉えられ方に対して一抹の不安を感じてしまうのだが、実はお金の管理につても立派な金融教育の1つなのだ。
もし子どもに金融教育を施したいと思っている人が、その内容として想定しているものが投資であるならば、まずはその先入観を捨てるようにしたい。お金とは何か。そして、お金をどのように使うのか。その選択肢の中の1つに増やす、つまり投資があるという幅広い概念も持ってほしい。
お金の計画と管理のなかで、クレジットカードや交通系カードなどのキャッシュレス決済の話もしたい。なぜなら、プリペイド型のキャッシュレス決済であればまだしも、クレジットカードのように後払いの場合は、使いすぎてしまうということが起こりうるからだ。ましてやリボ払いなどの場合はなおさらだ。
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だいたい1~2回の授業でこれまで書いてきたような内容を子どもたちに教えていく。大人たちからすれば難しい話は何もないだろうが、これらの内容だけでも子どもにとっては、それなりのボリュームになってくる。
筆者はこれまでも繰り返し言っているのが、理想は、金融教育は学校に頼るのではなく、親が家庭で子どもに施すのが理想だということだ。親が経済学部出身だったり、金融業界に勤めていたりしないと無理だという意見をもらうこともあるが、そんなことはない。
実際にこれまで見てきた内容の授業を受けた子どもが、後日、親がレジでクレジットカードで支払った際に、カードを持っていて便利だと感じる瞬間はどういうときとか、自分は何歳になったらクレジットカードをつくれるのか、など興味津々にいくつかの質問をしてきたという。
そこで、親が1つずつ回答したということだが、これはこれで十分立派な金融教育ではないだろうか。どうも日本の人たちはお金の話を人前ですることをタブー視しがちだが、このように少しでもお金に関わる会話を親子間でできるならば、それは既に家庭での金融教育の第一歩が踏み出されると考えていい。
連載:0歳からの「お金の話」
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