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2022.05.14

米英のフィンテック業界、高給だが女性比率に課題も

Getty Images

米サンフランシスコの成長著しいフィンテック業界に足を踏み入れたいと考えている人に、大変良い知らせがある。最新調査によれば、求人は山ほどあるようだ。

ただし、フィンテック分野の世界的な中心地とも言えるサンフランシスコでは、同業界で職探しをしている女性は、かなり不利な立場に立たされるかもしれない。データがそう示している。

専門的人材の紹介企業ロバート・ウォルターズのリポートには、こう書かれている。「サンフランシスコにおけるフィンテック業界のテクノロジー系人材市場は現在、大いに湧いている。新たな人材が次から次へと猛スピードで採用されており、テクノロジー専門家たちは、一度に複数の企業からオファーを受けることも多い」

サンフランシスコを含むベイエリアで大幅に不足しているのが最高プロダクト責任者であり、26万ドルを超える年間報酬が見込めるという。

心をそそられる話だが、サンフランシスコのフィンテック業界で働く従業員のうち、女性はわずか10人中3人だ。同地区では、フィンテック分野で働く人の72%を男性が占め、女性はわずか28%だと、リポートには書かれている。

ニューヨークはさらに深刻


ひどいと思うなら、心して読んでほしい。ニューヨークのフィンテック業界で女性を取り巻く状況は、サンフランシスコよりも深刻だ。ただし、ロバート・ウォルターズが作成したリポートには、良いことばかり書かれている。例えばこんな感じだ。

「ニューヨークのフィンテック企業は全体的に、職種やスキルセットを問わず、あらゆるフィンテック専門のテクノロジー系人材を求めている。とりわけ需要が大きいのはプロダクトマネージャーだ」

それは事実かもしれない。しかし、ニューヨークがサンフランシスコよりさらに、フィンテック業界で活躍する女性が少ないのはなぜかという問題は取り上げられていない。ニューヨークのフィンテック企業では、従業員の75%が男性で、女性は4人中1人にすぎないと、リポートには書かれている。

ニューヨークのフィンテック業界は、女性が就職できる確率は低いものの、報酬はサンフランシスコを上回っている。ロバート・ウォルターズのデータによれば、最高プロダクト責任者は年間30万ドル以上の報酬を期待できる。簡単にいえば、女性にとってはダブルパンチと言える状況だ。

英国は最悪


大西洋を渡り、ちょっと趣きの異なる英語を話す英国に行けば、それほど状況はひどくないと思いたいだろう。残念ながら、実際はどうやら逆のようだ。

ロンドンのフィンテック業界で働く従業員は、5人に1人強(22%)が女性で、それ以外はみな男性だ。言い方を変えよう。大西洋の向こう側の英国では、フィンテックという花形の業界に仲間入りしたいと考える女性には、さらに大きな壁が立ちはだかっている。

ロバート・ウォルターズのリポートには、ロンドンを拠点とする企業の最高プロダクト責任者の年間報酬についての記載がない(さらに残念なことに、欧州における金融の中心地ロンドンは、天気がいまいちだ)。

フィンテック業界のリーダーにこう尋ねたい。一体いつになったら進歩するのか、と。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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