アップサイクルブランドの商品販売のほか、古着の回収、洋服のリペア、ワークショップイベントなどを行い、来店客が洋服のサーキュラーエコノミーを体感できる、新たな体験価値創出の場だ。開店後は、レジには順番待ちの列ができるなど好調な滑り出しとなった。
運営するのは、「グローバルワーク」「ニコアンド」など30以上のアパレルブランドを展開するアダストリアが2020年に設立した子会社「ADOORLINK(アドアーリンク)」。2022年3月には、自社のサステナビリティ担当取締役であり、アダストリア創業家の一人でもある福田泰己が同社代表取締役に就任した。
「スピーディーな意思決定」をするために
アダストリアでは、アドアーリンクの設立前からサステナビリティに関する取り組みを進めてきた。その中心となっていたのが福田だった。
「アダストリアには、『なくてはならぬ人となれ なくてはならぬ企業であれ』という企業理念があります。ファッションをベースに、“世の中にとってなくてはならない企業や取り組みとは何なのか”を考えたとき、自然とサステナビリティにつながりました。当社にとってサステナビリティは経営そのものなので、全社の理解や協力も得やすかったです」
ただ、30を超える自社ブランドを抱えるため、足並みを揃えるのは難しかった。そこで、サステナビリティに特化した事業を展開する子会社をつくろう、とアドアーリンクを立ち上げた。
スピーディーな意思決定で次々に実験的な取り組みを行っていくための会社で、ここで手応えを掴めたものはアダストリアに還元していく。
アドアーリンクが手掛ける事業は、大きく2つ。今回水戸にオープンしたアップサイクル事業の「オフストア」と、サステナビリティと情報の透明性をベースとしたD2Cブランド事業の「O0u(オー・ゼロ・ユー)」だ。
「単にサステナビリティに取り組んでいるからという理由で商品を買う方は少ないので、それ以上の価値を創出していかなければならない。サステナビリティをベースにデザインや仕掛けを取り入れることで、お客さまをワクワクさせ、“欲しい”と思っててもらえることが重要です」