キャリア・教育

2022.05.12 10:30

データで多くの命を救ったナイチンゲール。白衣の天使は統計学者だった 看護の日|5月12日

クリミアのスクタリ軍病院で働くナイチンゲール。「シャーロットおばさんの小さな子供のための英語史の物語」より(whitemay / Getty Images)

クリミアのスクタリ軍病院で働くナイチンゲール。「シャーロットおばさんの小さな子供のための英語史の物語」より(whitemay / Getty Images)

5月12日は「近代看護教育の母」と言われるフローレンス・ナイチンゲールの誕生日です。それにちなんで「看護の日」「国際看護師の日」が制定されました。

クリミア戦争時(1853〜56年)の野戦病院における献身的な働きぶりだけが彼女の功績ではありません。ナイチンゲールはイギリスの裕福な上流階級家庭に生まれ、高いレベルの教育を受けて育ちました。数学や統計に強い興味を持って勉強していたといわれており、医療統計学の先駆者として知られています。

ナイチンゲールは野戦病院内の衛生状況などを改善することで、4割以上もあった傷病兵の死亡率を1割以下へと劇的に減らすことに成功しました。さらに、野戦病院における英国軍兵士の戦死者・傷病者・死因に関する膨大なデータを取りまとめて、兵士たちが負傷そのものよりも衛生管理の悪さに起因する感染症で、より多く死亡していることを明らかにしたのです。

こうした現状が視覚的に伝えられるよう、多角形に数値を表したレーダーチャートを用いたり、死因別に死亡率を色分けした「鳥のトサカ」と呼ばれるダイアグラムを考案したりして、国会議員たちに病院の現状と衛生状態の改善を訴えました。ナイチンゲールは統計学を使って現状をわかりやすく国の上層部に伝えることで、多くの命を救ったのです。

戦場から帰還した彼女は健康を害してしまい、その後の人生の多くをベッドで過ごすこととなりました。そのような状態でも、ナイチンゲールは看護学校を設立し、換気やナースコールなどをはじめとした病棟のシステムを考案。『看護覚え書』『病院覚え書』などたくさんの著作で公衆衛生の発展に力を尽くすなど、看護や医療の体制・在り方を改革しました。その功績は現在の看護現場にも生かされています。

連載:今日は何の日?

執筆協力=アステル

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