投資家の不安心理を反映することから恐怖指数の異名をとるシカゴ・オプション取引所(CBOE)の変動性指数(VIX)は、米株式相場が続落した9日、35ポイント近くまで急上昇した。ロシアのウクライナ侵攻で市場の不確実性がいちだんと高まり、52週ぶりの高さとなった3月初めの約39ポイントに迫った。
それでもブランク・シャイン・ウェルス・マネジメントのロバート・シャイン最高投資責任者は、最近マーケットが受けているストレスに比べると、VIXの上がり方は抑制されているように見えると指摘。これは投資家が、向こう数カ月により深刻な株価下落があるとみている表れではないかとの見方を示す。
シャインは、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げがそうした株価下落の誘因になる可能性があると警鐘を鳴らす。投資家には「かなりの間、方向感の定まらない相場が続くと備えたほうがよい」とも忠告している。
データトレック・リサーチの共同創業者であるニコラス・コラスも9日のリポートで、ダウ工業株30種平均が2020年以降で最大の下げ幅を記録した翌日の6日には、VIXは36ポイント以上になってもおかしくなかったが、実際はそうならなかったと指摘。そのため同社としては「投資に適した底入れを引き続き待つ」と説明した。
多くの市場関係者は、米経済が今年リセッション(景気後退)入りするかどうかはまだ確信をもって判断できていない。ただ、FRBが金融政策の引き締めを進めるなか、来年にかけてリスクが高まると警戒する見方が出ている。
モルガン・スタンレーのアナリスト、マイケル・ウィルソンは先週の顧客向けリポートで、米景気の減速が予想を超えるペースで進んでいる証拠が増えており、それが先月末の大幅な株価下落を引き起こしたと分析。株安はそれにとどまらず、年初来17%下落しているS&P500種株価指数は底入れまでにさらに13%下がるとの見通しを示した。