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2022.05.11

在宅フィットネスのペロトン、損失が大幅拡大 ジム回復で需要低迷

Getty Images

在宅フィットネス事業を手がける米ペロトンが10日に発表した2022年1〜3月期(第3四半期)決算は、市場の予想以上の大幅な損失を計上した。新型コロナウイルス関連の規制の解除を受けてジム通いを再開する人が増えるなか、機器やサービスの需要が低迷している。同日のニューヨーク市場でペロトンの株価は10%近く下落した。

1〜3月期の最終損益は7億5700万ドル(約987億円)の赤字だった。赤字幅は前年同期の860万ドルから大幅に膨らんでいる。売上高も15%減の9億6400万ドル(約1260億円)と予想を下回った。前年同期比の減収は2019年の上場以来初めて。

同期末の手元資金は8億7900万ドル(約1150億円)に細り、バリー・マッカーシー最高経営責任者(CEO)は「資本が薄くなっている」と認めた。今年2月にCEOに就任したマッカーシーは、ペロトンが復活するまでには「ある程度時間がかかる」との認識も示した。

ペロトンは4月、エクササイズバイクやトレッドミルを値下げしたが、なお大量の在庫を抱えているという。マッカーシーによると、値下げは「予想以上に大量の現金を失う」結果にもなっている。

1〜3月期の新規会員数は約19万5000人で前年同期の半分弱に落ち込んだ。経営陣は4〜6月期(第4四半期)の売上高は7億ドル(約9億1000万円)程度になるとの見通しも示した。この数字はアナリストらの予想8億ドル超よりもかなり低い。

ペロトンの株価は年初来64%下落している。足元の水準は、ロックダウンによって需要が急増した2020年末の最高値に比べると約90%低い。

マッカーシーはバランスシートの改善に向けて、JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスから5年契約で計7億5000万ドル(約980億円)を借り入れることも明らかにした。

急速な資金流出が続いているが、マッカーシーは2023年度に純現金収支(フリーキャッシュフロー)がプラスに転換することには引き続き自信を示している。

編集=江戸伸禎

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