森山未來が提案。アーティスト・イン・レジデンスの拠点が神戸に誕生

森山未來(右から2番目)とアーティスト・イン・レジデンスを始動させた仲間たち


「実は僕は神戸出身なのですが、KIITOの存在はまったく知りませんでした。初めて訪れたときに、歴史的建造物でありながら、こんなに想像力をかき立てられる施設があるのなら、ぜひともここに滞在して作品づくりをしたいと考えました。

しかし、KIITOには宿泊施設がなかったのです。例えば、10人の仲間たちが一緒に作品をつくるときに、寝食を共にしていつでも交流できる、住宅でいうと家族で食事するリビングルームのような部屋があれば、コニュニケーションの密度はぐんと高まって、それが作品の熟成度に直結することが、これまでの僕の経験からわかっていました」

null
シリコンバレーの有力投資ファンドもイノベーティブな空間なKIITOで起業家支援事業を実施

そのような滞在施設をつくりたいという森山からの相談を受けた神戸のキーパーソンたちが共感し、北野にある外国人マンションをレジデンスに整備したという。森山はこの場所を選んだ理由を次のように語る。

「神戸は風が通り抜ける街だと感じています。明治の開港で世界各国との窓口となって、東へ西へと人々が行き交う結び目にもなりました。来る者を拒まない、去る者を追わない街ですね。

今回、レジデンスを開設した北野地区は、KIITOに近いというのもあるのですが、明治開港のあと居留地で働く外国人ビジネスマンがこのあたりに住んでいて、地元の人たちとの交流が盛んだったと聞いています。まさに新しい出会いにピッタリの空間です」

この滞在施設、しばらくは「社会実験」という位置づけで、アーティストたちには無料で滞在してもらうことにしているため、現在その運営費を集めるためにクラウドファンディングも行っている。

森山未來の発案から生まれたこの拠点。これから誰が滞在してどんな作品が世に生み出されるのか、そんなレポートを近いうちにお届けしたい。

連載:地方発イノベーションの秘訣
過去記事はこちら>>

文=多名部重則

ForbesBrandVoice

人気記事