ロシアのTV番組表に「反戦メッセージ」、ハッカーの仕業か

戦勝記念日パレード(2022年5月9日、ロシア・モスクワ)(Photo by Oleg Nikishin/Getty Images)

5月9日、戦勝記念日のロシアの複数のテレビ局の番組ガイドに、ウクライナへの軍事侵攻に反対するメッセージが掲載された。この動きは、親ウクライナの活動家によるハッキング行為だと考えられている。

BBCが公開した映像では、ロシアの複数の主要ネットワークの番組ガイド上で、番組名と説明文が書き換えられ、ロシア国民が政府に騙されていると伝えるメッセージが表示された。

そこには、「あなたたちの手は、何千人ものウクライナ人と何百人もの殺された子供たちの血で汚されている」という文言に続いて、「戦争反対」のメッセージが掲載されていた。


これらの文言が、ハッキングによって表示されたのか、それとも内部の妨害行為によるものなのかは定かではない。ケーブルテレビ局のRostelecomは、ロシアのタス通信に対し「現在この問題を調査中で、再発防止に努める」と述べた。

これとは別に、同じ日にロシアのニュースサイト「Lenta.ru」の元社員2人が掲載済みの記事を書き換えて反戦のメッセージを表示し、プーチンを「哀れな偏執狂の独裁者」と呼び、「意気地なしのロシアのエリート」を非難した。

「経済の失敗を戦争で覆い隠そうとするプーチンは去るべきだ。彼は無意味な戦争によってロシアを破滅させようとしている」と、彼らは主張した。

ロシア政府は9日、第二次世界大戦でソ連がナチス・ドイツに勝利したことを記念する戦勝記念日を祝った。モスクワの赤の広場で演説したプーチンは、ロシアのウクライナ侵攻を、ヒトラーに対するソ連の戦いになぞらえ、NATOによって紛争に追い込まれたロシア軍がウクライナの「自国の土地」で戦っていると主張した。

ロシアは、ウクライナへの侵攻の開始以来、複数のハッカー集団によるサイバー攻撃の標的とされている。ワシントンポストは先日、ロシアが3月のハッカーの攻撃によって、他のどの国よりも多くの機密データをウェブ上に流出させたと報じていた。

編集=上田裕資

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