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2022.05.09 11:30

失速鮮明のNFT市場、売上もアプリDL数も90%減少

Getty Images

ブームのNFTに減速の気配が見えてきた──。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が5月3日の記事で引用した統計サイトNonFungibleのデータによると、2021年9月には1日あたり平均22万5000個のNFTが販売されていたが、直近では1万9000個に減少し、減少幅は92%に達している。

それと同時に、NFTの購入に用いられるイーサの価格は昨年11月に4500ドルを記録したが、5月の第1週には約2800ドルに落ち込んでいる。ビットコインの価格も、同時期に6万5000ドル強を記録した後に、3万9000ドル付近に落ち込んだ(これらの価格は5月5日現在のもの)。

一方で、アプリ調査企業Apptopiaのデータで、世界最大級のNFTのマーケットプレイスのOpenSeaのアプリのダウンロード数は、1月のピーク時に1日あたり18万件を記録したが、現在は約90%マイナスの約2万件にまで急減している。

さらに、別のマーケットプレイスのVeve Collectiblesのアプリ内売上も、昨年11月から90%減少したとApptopiaは述べている。

これらのデータから見えてくるのは、NFTの市場が減速に直面しているという事実だ。Apptopiaのデータによると、世界の上位50の暗号通貨アプリのダウンロード数は、昨年11月から64%も減少したという(ただし、同期間の月間アクティブユーザーの減少率はわずか6.5%で、この数値は、これらのアプリが既存ユーザーをつなぎとめていることを示している)。

NFTのブームは、2021年3月にビープルという無名のアーティストの作品に約6935万ドル(約75億円)という値がついたことで一気に加速した。ジャック・ドーシーがオークションに出品した「世界初のツイート」のNFTは、同時期に290万ドルで落札されていた。

しかし、今年4月のオークションに再度出品されたドーシーのNFTの入札価格は、約1万4000ドルにとどまり、99%の値下がりとなったことが大きく報じられていた。

WSJは3日の記事で、米国の金利の上昇により、金融市場全体でリスク回避の動きが広がり、NFTが最も投機的な賭けの一つとなったことを指摘した。NFTの価値を裏付けるのは、その希少性だが、あまりにも多くの「アート」が出品された結果、供給過剰に陥ったことは否定できないだろう。

これらのデータは、NFTが永遠に絶望的であるとか、暗号通貨が失敗に終わったことを示すものではないが、この市場がある種の岐路に直面していると考えるのが妥当だろう。

メタバースの成長が続く中で、デジタルの所有権をやり取りするNFTは重要であり続けるはずだ。しかし、もしそうであるなら、私たちはこの幻滅の谷を通り抜け、本当の価値に基づいてこのスペースを再構築することが必要になりそうだ。

編集=上田裕資

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