──反響はいかがでしょうか?
複数のクラブに共通しているのが、スタジアムの入場者数がコロナ前になかなか戻らないということ。スポンサーに対しても、コロナ禍で制約がある中でのメリットの還元になってしまっているという課題があります。それを打破するために、多くのクラブがNFTに興味を持っています。
──サポーターの反応は?
ローンチした直後にコンサドーレ札幌と川崎フロンターレのホーム試合で、動画トレカをゲットした人を対象にヒアリングをしました。
サポーターたちもまだ慣れてないので、予想通り「YouTubeやハイライトの映像と何が違うの?」という感想が出ましたが、「シーンをコレクションするという感覚が新鮮」「自分が好きなシーンが手元にあって、検索せずにいつでも見返せるのがいい」といった声もありました。自分が観戦した試合について、振り返るツールになりそうだと。
また、ユーザー登録の方法など、サイトがわかりづらいという意見もありました。すぐに反映して、今はローンチ時より使い勝手が良くなっています。
博報堂DYメディアパートナーズ プレスリリースより
──「PLAY THE PLAY for J.LEAGUE」の独自性は?
クリエイティブやコンセプト設計、デザインといったところでしょうか。
二度とは生まれない選手たちのパフォーマンス、“ザ・プレイ”を切り取った唯一無二のNFTをコレクションして遊ぶという意味を込めて、「プレイ・ザ・プレイ」と名付けました。
デザインで特にこだわったのは、ロゴの「カギカッコ」の部分。人がシーンを切り取る時、指で作りますよね。それをモチーフにしたんです。スタジアムでの熱狂の瞬間をテイクアウトして、一生の宝物として持ち続けてほしいというメッセージを表現しました。そして、瞬間を切り取る重要な作業を、データスタジアムのそれぞれの競技に精通したメンバーがその目利きを活かして行っています。
現在は中継映像がベースですが、将来的にはNFT向けのコンテンツ制作ができれば面白いと考えています。
博報堂DYメディアパートナーズ プレスリリースより
──なるほど、広告会社である博報堂DYらしさを感じます。今後予定しているコンテンツ、展開についてはいかがでしょうか?
今回は「for J.LEAGUE」ですが、「PLAY THE PLAY」は独自プラットフォームですし、博報堂DYスポーツマーケティングでは色々な競技、リーグ、チーム、選手との事業を展開していますので、それぞれのニーズに応じたサービスを提供していければと考えています。
提供するサービスについては、ファンにとってどんな価値があるかを優先して設計しています。これは一般的な話でもありますが、ファンクラブやグッズなどとNFTの連携も視野に入ってくるかと思います。
──「PLAY THE PLAY」はまだブロックチェーンに載せていませんね。
もちろん、いずれNFTに対応することを踏まえて、サービス設計しています。ただNFTに関しては、日本のスポーツ界は参入し始めたところで、選手肖像の権利、利益をはじめとした諸課題にどう対応していくか、議論を進めている段階なんですね。おそらく、グローバルレベルでもスポーツ界が一番悩んでいる部分です。
私たちはスポーツ界の意思を無視して拙速に進めるのではなく、競技団体の議論の行方を見ながら、ユーザーにNFT化したサービスを提供したい。タイミングを見極めながら進めています。