コロナ感染、重症化でIQ10ポイント低下の可能性 英大学が発表

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新型コロナウイルスに感染し、重症化した場合の患者の認知機能の低下は、50歳から70歳までの加齢に伴う衰えと同様の変化であることが分かった。これは、知能指数(IQ)の10ポイントの低下に相当するという。

感染が認知機能とメンタルヘルスに長期的な問題をもたらし得ることは、すでに過去の数多くの研究によって明らかにされている。ケンブリッジ大学とインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームが新たに発表したこの研究結果は、そのことを裏付けるまた新たな証拠といえる。

ジャーナル「eクリニカル・メディスン」に掲載された論文によると、研究チームは2020年3~7月に入院した28~83歳の感染者46人と、6万6000人以上の認知機能に関するデータを比較した。

その結果、重症化した患者の認知機能は長ければ6カ月以上にわたって低下した状態が続き、改善のペースは緩やかだったことが確認された。また、重症化した場合の認知機能の低下は、人工呼吸器の装着が必要となった人に特に目立っていたという。

認知機能に長期的な影響が及ぶ原因は、まだ特定されていない。炎症反応や免疫系が関係しているとみられているが、研究者らは、今後は基礎疾患や炎症に関するバイオマーカーと認知障害の「マッピング」に焦点を当てた研究が必要になるとの見方を示している。

研究チームは新たに発表した結果について、感染による症状が重い患者は、認知障害によってより長期的なケアを必要とすることになる可能性が高いことを示唆するものだと説明している。

さらに、論文の最終著者であるケンブリッジ大学のデビッド・メノン教授は、今回の研究により、新型コロナウイルス感染症の患者の認知機能の低下は、感染時の症状の重さから予測可能だといえることが分かったと述べている。

これまでの多くの研究によって、重症化した患者は回復後も長期にわたり、うつ病や不安障害、ブレインフォグ(頭がぼうっとした状態)、倦怠感など、さまざまな症状を経験していることが報告されている。

また、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学が昨年10月、過去に記憶障害と診断されたことがない740人を対象に行った調査では、感染者の中には診断から7カ月以上が経っても、ブレインフォグを経験している人が多いことが明らかになっている。

その他の過去の研究では、ワクチン接種を受けていない人は接種した人と比べ、感染後に長期にわたって後遺症が続く可能性が高いことが示されている。

編集=木内涼子

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