マスクは2018年に、実際には合意がなかったにもかかわらず、テスラの非公開化のための「資金は確保した」とツイッターに投稿し、SECから証券詐欺の疑いで提訴された。マスク側はその後、制裁金の支払いなどでSEC側と和解し、テスラ株についてツイッターなどで発信する際は事前に会社側弁護士の承認を得ることにも同意していた。
マスクは今年2月になって、弁護士によるツイートなどの事前承認を義務づけた和解条項は自身の言論の自由を侵害するものだとして裁判所に申し立てを行った。さらに3月8日の申し立てでは、この条項の破棄のほか、自身のツイートに関する事前承認記録の提出を求めたSECの召喚状の一部無効化も求めた。
だがニューヨーク州南部地区連邦地裁のルイス・リーマン判事は、マスクに言論の自由はあっても「詐欺的あるいは証券法違反とみなされかねない」言論まで許されるわけではないとし、申し立てを退けた。マスクが昨年末、テスラ株の大量売却について事前承認を得ずに何度かツイートしているとも言及し、マスク側の主張は「どれも理屈に合わない」と断じた。
マスクは今月14日、ツイッターの全株式を買い取って非公開化する案を明らかにしたが、その際も4年前の「テスラ非公開化」ツイートとの類似性を指摘する声があった。ツイッターの取締役会は今週、マスクの提案を受け入れることで合意している。
マスクは25日、SECは「空売り筋の恥知らずな手先」だと重ねて非難。2018年のツイートについても、サウジアラビアの政府系ファンドのトップがテスラの非公開化に参加してくれることを「はっきり約束」していたため、非公開化するディールに向けた資金が確保されたと投稿しただけだとあらためて主張した。