24時間365日いつでも、世界中のどこからでもわずか数クリックでアクセスできるバーチャル・ストアには、冬物ならダウンジャケットやニットキャップ、レトロなスキーウェアなどが取りそろえられており、いずれも5ドル(約650円)以下で購入できる。
ラルフ ローレンのこの店舗は、ファッション業界がいかに「メタバース」について深く掘り下げて考えているかを示す一例だ。ブランド各社はデジタルにしか存在しない衣類やアクセサリーによって、実際の売り上げを伸ばそうとしている。
ばかげた話のようにも聞こえるかもしれない。だが、メタバースは新たな“ドル箱”になる可能性もあると考えられている。モルガン・スタンレーは、メタバースは向こう10年間に、高級品業界に500億ドル以上の事業機会を提供することができると予測している。
そこで改めて、メタバースとは何か、そしてファッション・ブランドが競ってこの領域に進出しようとするのはなぜかについて、考えてみたい。
メタバースとは何か──率直に言えば、それはまだ完全には明確にされていない。ただ、「より没入感のある三次元の体験を提供することができる、新たなバージョンのインターネット」になる可能性があるものだとされている。
Robloxをはじめ、オンラインゲームプラットフォーム上でその形を明らかにし始めている一方、実際のところはほとんど理論上のものだと言えるメタバースに、多くの人が注目する理由はどこにあるのだろうか。
それは、新型コロナウイルスのパンデミックとも関連している。公衆衛生のために導入されたさまざまな規則は、世界中の何百万もの人々の行動を制限し、オンライン上で過ごす時間を大幅に増やした。