米市場調査会社イーマーケター(eMarketer)によると、米国の成人が昨年、デジタル機器を使用した時間は1日あたり7時間50分で、2019年から15%増加していた。
一方、メタバースが大きな注目を集めた背景には、フェイスブックが昨年10月、この分野における主要なプレーヤーとなることを目指し、社名をメタ(Meta)に変更すると発表したこともある。メタはその目標の実現のため、今年は100億ドル、さらにその後はより多額の資金を投じる計画だという。ビル・ゲイツは、私たちは今後3年以内に、仕事のミーティングもメタバース上で行うようになると予想している。
パンデミックが続くなか、一時はファッションショーもオンラインに移行したブランド各社は、デジタルの領域で顧客とつながる方法について、さまざまな形を検討してきた。
その各社はいま、それぞれのメタバース戦略を競い合っている。バレンシアガはメタバース部門を創設。グッチ、バーバリー、ドルチェ&ガッバーナは、バーチャルファッションの販売を開始した。また、ナイキはバーチャルスニーカーブランドのRTFKTを買収している。
業界にとっての重要性
ブランドにとってメタバースが重要な理由のひとつには、それが次世代の顧客、つまりデジタルネイティブであり、ネット上で長い時間を過ごすことに慣れているZ世代の消費者をひきつける方法だということがある。
また、メタバースでの事業を展開することにより、非常に大きな利益を見込めるということもある。モルガン・スタンレーによると、メタバースは高級ブランドにとっての市場を2030年までに、10%以上拡大させる可能性がある。それにより、売上高は500億ドル以上の増加が期待できるという。
デジタルの商品であれば、各社は生産のために原材料を購入する必要がなく、世界各地に配送するためのコストなども不要だ。また、ブランド各社にはすでに、過去のコレクションからなる膨大なアーカイブがあり、それをデジタル領域で再利用することができる。さらに、一度販売して利益を得ればそれで終わりではなく、販売するたびに特許使用料を徴収することができる。