ボトックスが変えた老化のあり方と今後の展望

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米食品医薬品局(FDA)は2002年、ボトックス注射(ボツリヌス菌が作り出す「ボツリヌストキシン」を有効成分とする薬の注射)をしわ取り治療薬として承認した。それ以降、多くの美容トレンドが誕生し、消え、そして復活しているが、そうしたなかでボトックスの人気はまったく衰えていない。

ボトックス注射は元々、まぶたのひどいけいれんをコントロールできない眼瞼けいれんの患者を治療するために使用されていたものだ。その後、1980年代に美容治療としての利用が始まった。きっかけは、王立カナダ外科大学(the Royal College of Surgeons of Canada)の会員であるジーン・カラザース(Jean Carruthers)医学博士が治療を施した患者が、眼瞼けいれんだけでなく、目の周りの小じわにも効果があることに気づいたことによる。

その後、ボトックスの試験と研究が重ねられた(専門誌に査読済み論文が604回掲載された)。そして2002年に、眉間、目尻、額という3つの部分のしわ治療法としてFDAに承認された。その後の20年間で、ボトックスの処方は進化し、注射技術も進歩してきた。

「今は、長年にわたって得られた素晴らしい解剖学的な研究結果がある」とカラザース博士は言う。

ボトックスは当初、有名人を使ったマーケティングが行われていたが、その後は、より一般的な人々の結果が示されるようになっている。

もうひとつの大きな違いは、ボトックスに対する人々の態度と知識が変化したことだ。偏見は徐々に薄れつつある。ミレニアル世代は、ボトックスをセルフケアのひとつとして受け入れており、親を治療に連れてくることもある。

しかし、誤解もまだ残っている。最も多い誤解は、ボトックスで注射される神経調節物質と、ヒアルロン酸などの「フィラー注入」が同じだと考えることだ。また、神経調節物質はどれもまったく同じものだと考えられていることもあるが、これらは実際には異なる分子であり、作用も微妙に異なる。
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翻訳=ガリレオ

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