世界の各都市の中でも特に物価が高いイメージのある東京だが、実際のところは世界で何番目に位置しているのだろうか。世界130カ国以上にクライアント企業を持つグローバル・コンサルティング・ファーム、「マーサー」が毎年発表する世界生計費調査(Cost of Living Survey)の都市ランキングの2020年と2021年を比較しながら、東京の物価の高さや今後の物価動向について考察したい。
東京は1つ順位を「落とし」て4位にランクイン
「世界生計費調査・都市ランキング」は、マーサーが毎年発表しているランキングだ。住居費、交通費、食料、衣料、家庭用品、娯楽費用などを含む200品目以上の価格を調査し、ニューヨークを100とした場合の各都市の指数を比較してランキングにしている。基軸通貨は米ドルだ。
2021年の東京の順位は4位だった。2019年は2位、2020年は3位と2年連続で1つずつ順位を落としたものの、依然高い順位となっている。2021年のランキングトップ10は以下の通りだ。
2021年世界生計費調査・都市ランキング
1位
アシガバート(中央アジア南西部の共和制国家、トルクメニスタンの首都)
2020年ランキング:2位
2位
香港
2020年ランキング:1位
3位
ベイルート
2020年ランキング:45位
4位
東京
2020年ランキング:3位
5位
チューリッヒ
2020年ランキング:4位
6位
上海
2020年ランキング:7位
7位
シンガポール
2020年ランキング:5位
8位
ジュネーブ
2020年ランキング:9位
9位
北京
2020年ランキング:10位
10位
ベルン
2020年ランキング:8位
トップ10の半数以上がアジアの都市となっており、3都市がランクインしたヨーロッパと合わせて、アジアとヨーロッパでトップ10をほぼ占めている。
前年の45位より大幅な順位アップとなった3位のベイルートは、2020年の財政危機、新型コロナウイルス感染症、ベイルート港の爆発事故による経済不況によって20年のインフレ率が85%になるなど物価が急騰した。
ベイルート以下のランキングでは、東京、チューリッヒ、上海、ジュネーブが1つずつ順位を落としている。このランキングでは、米ドルに対して現地通貨が通貨安となった国の都市はランキングが下がりやすい。かなりの通貨安となったベイルートの順位アップを緊急事態によるイレギュラーと考えると、東京のランキングは2020年と同程度と考えてよいのではないだろうか。どちらにしろ、東京は世界でトップ5に入る物価の高さだということだ。