パンデミックで様変わりしたハワイ観光業
日本ーハワイ間の渡航の扉が閉ざされていたこの2年間で、ハワイの観光業はすっかり様変わりした。最も象徴的なのは、観光客の内訳だ。パンデミック前の2019年にハワイを訪れた観光客は、年間1039万人。この内訳は以下のとおりだった。
・アメリカ本土 687万人(66.2%)
・日本 158万人(15.2%)
・カナダ 54万人(5.2%)
・オセアニア 36万人(3.5%)
・その他アジア 35万人(3.4%)
最も多いのは米本土からの観光客で、全体の7割弱だった。しかしコロナによって海外渡航が難しくなったことで、米国以外の国からの観光客が激減。一方で、米国でのハワイ人気が爆発。ハワイは全米でも感染者が少なく、安全に旅行を楽しめる場所であり、しかも非日常のリゾートライフを満喫できるとあって、本土からの人流が増えている。
実際、2022年1月から3月までのハワイ観光客数197万人に対して、本土からの観光客数は176万人(約90%)。春休み期間にあたる3月にいたっては、全観光客数79万人のうち78.6万人はアメリカ本土からの観光客で、実に99.6%を占めている。
海外からの観光客はほとんどいないにも関わらず、3月のハワイの観光客数が2019年比でマイナス15.1%まで回復したことからも、本土からの観光客が急増していることがよくわかるだろう。そのおかげで、パンデミック中は人の姿が皆無となったワイキキだったが、現在ではすっかりコロナ前と変わらない賑わいを取り戻している。
また、旅のスタイルも変わりつつあるようだ。2019年の観光客の平均滞在日数は8.7日だったのに対して、2022年1月~3月は9.29日に増加。3月における滞在中の1日あたりの支出額(1人あたり)については、2019年の176ドルから215ドルまで22.4%増えた(米西海岸からの観光客の場合)。インフレによる現地での物価上昇の影響もあると見られるが、より長い期間滞在し、現地でお金を使う傾向になっていることがうかがえる。