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2022.05.08 07:00

ウォルマートと提携の燃料電池企業「プラグパワー」の実力

(c)PLUG POWER

近年、大手メーカーからスタートアップまで、様々な企業が再生可能エネルギーから生成した“グリーン水素”を動力源とする次世代商用車の製造計画を打ち出している。こうした中、燃料電池メーカーの「プラグパワー(Plug Power)」が、ウォルマートにグリーン水素を供給する計画を発表した。これは、米国で過去最大規模の契約だという。背景には、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格の高騰や、研究者からの温室効果ガス削減に向けた迅速な行動の呼びかけが挙げられる。

ニューヨーク州レイサムに本拠を置くプラグパワーは、1日当たり最大20トンの水素をウォルマートに供給する。これは、フォークリフト2万5000台分の燃料に相当する。プラグパワーは、専用のタンクローリーを使って液体水素をウォルマートの物流施設に配送する。配送量が20トンに達するまでの期間や財務条件は明らかになっていない。

プラグパワーのCEOであるAndy Marshは、声明の中で次のように述べている。「ウォルマートは、水素と燃料電池を用いた革新的な技術を10年以上前から他社に先駆けて導入してきた。我々が提供するグリーン水素ソリューションによって、ウォルマートは二酸化炭素排出量を大幅に削減することが可能になる」

カミンズやトヨタ、現代自動車、ボルボ、ダイムラー、ニコラなどが運送会社向けに大型の水素燃料電池トラックを製造しているのに対し、プラグパワーは、フォークリフト市場に特化している。工場や倉庫では、ゼロ・エミッションの車両や定置型電力システムに対するニーズが以前から存在しており、ウォルマートは2012年からプラグパワーの顧客となっている。米国エネルギー省の推計によると、2020年時点で3万台以上の水素燃料フォークリフトが米国内で稼働しているという。

「水素は、我々がより持続可能なサプライチェーンを実現する上で不可欠だ」とウォルマートのシニアディレクターであるJeff Smithは述べている。同社は、2040年までに大気汚染物質の排出量をゼロにする目指を掲げており、プラグパワーとの新プロジェクトは、その計画の一部だという。

燃料電池技術は、この20年間で進歩し、耐久性と効率性が向上すると同時に、製造コストが低下している。電気を蓄えるバッテリーとは異なり、燃料電池は必要に応じて電気を生成し、排出されるのは水蒸気だけだ。

最近では、水の電気分解や、風力・太陽光からつくられた電力から生成されるグリーン水素が、化石燃料やバッテリーより低コストな代替品になるとの期待が高まっている。Marshによると、その背景には、再生可能エネルギーや、水素の製造に使う電解槽のコストが低下していることが挙げられるという。
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編集=上田裕資

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