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2022.05.06

ショッピングモール、生き残りには「デジタル化」が不可欠

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不動産もオムニチャネルの時代へ


英国に本社を置くコニック(Coniq)も、ショッピングモールのデジタル化に取り組んでいる一社だ。同社は収集したデータを活用して、買い物客のエンゲージメントやロイヤルティーを高めるためのソリューションを提供しており、ロンドンの「ウェストフィールド」など欧州の多くのモールや不動産開発業者をサポートしている。

最近はAI(人工知能)ベースの顔認識技術を用いて買い物客の表情を追跡し、行動や満足度に関するデータを提供する企業も増えている。ただ、こうした技術の用い方は論議も呼んでいる。

デジタル化はたしかにやり方によってはプライバシーを侵害しかねない。だが、買い物客の体験向上を第一の目的として、倫理的に問題のない仕方で進める方法はある。たとえば、オンライン注文やクーポンなどのサービスを利用できるアプリを導入すれば、ショッピングモール側は客側と直接関係を構築できるだろう。トンスタッドも、ショッピングモールのデジタル化ではこうした「買い物客にとっての付加価値と同意に基づいたダイレクトな関係」を推奨する。

ショッピングモールのデジタル化は、ECと実店舗を融合したオムニチャネルの不動産体験の始まりでもある。小売企業がオンラインと実店舗の両方に展開するのなら、不動産もそうすべきだろう(「オンライン不動産」という言い方は矛盾しているように聞こえるが)。その結果、将来的に「メタバース」ができあがるのかもしれない。いずれにせよ当面は、テクノロジーとデータ収集の強化がショッピングモール活性化の鍵を握っているのは確かだ。

編集=江戸伸禎

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