キャリア・教育

2022.05.04 19:00

ハイブリッド型勤務に潜む落とし穴

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時間がたてば、管理職はおそらく、毎日その日にオフィスにいる面々を把握することに嫌気が差す。そして、重要な顧客とのビデオ会議に参加するよう部下に指示するのを忘れるへまをやらかすと、全員がオフィスにいないからだと言い訳をする。こうした問題は悪感情を生むかもしれない。
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在宅勤務の人は、自分が周囲から取り残され、忘れられたように感じるかもしれない。一方で、あえてオフィスでの週5日勤務を選び、上司や役員との距離を縮めようとする人も出るだろう。自分が目立つことで、より良い仕事や昇進の機会を得て、昇給やボーナスにつなげることが狙いだ。

そうした作戦を取らず、小さな子どもの世話や介護、あるいは通勤のない生活を選ぶ人は、オフィス勤務で上司に接近して自分だけ得をしようとしている同僚に反発するようになるだろう。

人々の間には溝が生まれ、企業文化は有害なものなり、緊張感が高まる。人材の売り手市場にある今、従業員側は退職の敷居が下がっている一方で、会社側は辞めた人材の置き換えが難しくなっている。インフレが進む中、新規採用のコストは辞めた人に支払っていた給料より高くなるだろう。
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最終的に、どこかで無理が生じる。リモート社員の管理に疲弊した中間管理職からの圧力や、自分が周囲から忘れられていると感じるリモート社員からの苦情、社内での闘争、スケジュールのやりくりに皆がうんざりし、経営陣は全社員を週5日勤務に戻すことになる。

企業の間で格差が生じることも考えられる。ニューヨークの大手投資銀行など、ブローカーやトレーダー、運用担当者に週5日のオフィス勤務にこだわる企業もあれば、遠隔勤務優先の方針を取り完全オフィス勤務方式の他社から人材を盗む企業も出てくるかもしれない。ハイブリッド型勤務の導入に成功できるのは、テクノロジーに精通し、最高水準のソフトウエアやプラットフォーム、アプリを持ち、管理職が十分に訓練を受けている会社になるだろう。

もしあなたが転職活動中なら、応募先の企業の勤務スタイルは遠隔なのか、あるいはハイブリッド型、フレキシブル、デジタルノマド、オフィスでのフルタイム勤務のいずれかなのかを知る必要がある。継続不可能な状況に置かれ、たった数カ月で退職を考えることは避けよう。

編集=遠藤宗生

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