ゼロに近いコスト
Pixelの仕様を列挙すると以下の通りだ。
・コア数3、動作周波数1MHzのARM製チップ
・1KBのメモリ
・電波で給電
・気温と位置情報を取得(近接検知と在庫補充検知は近日リリース予定)
・Bluetooth 5.0を搭載
・10メートルの通信距離
・128ビット暗号化に対応
・切手サイズの粘着ラベルにセンサーを内蔵
Wiliotは、Pixel 2のコストについて「ゼロに近い」としか述べていない。筆者がStatlerに確認したところ、目標は1個あたり数十セントとのことだが、現状は約1ドルとの印象を受けた。ロイヤリティフリーで提供するためには、開発費をゼロ近くまで下げる必要があるだろう。
Pixel 2がロイヤリティフリーで使える上、コード不要の開発プラットフォームと、テスト用スターターキットをわずか500ドルで利用できれば、IoTを非常に簡単に、安価に導入することができる。このことは、IoTを大きく変えることになるだろう。
食品の鮮度管理にも利用可能
今話題のメタバースと融合させれば、さらに大きな変化が生まれる。例えば、あなたのルイ・ヴィトンのバッグが本物であり、どこで製造されて、どのようにあなたの手元に届いたかという情報を把握できる上、あなたのアバターに同じバッグのNFTを持たせることができるとしたらどうだろうか?
「ERPシステムの大半は、商品にSKUがあることを想定しているが、全ての商品がデジタルツインを持つことを前提には構築されていない。しかし、最近ではスタートアップや大手企業が商品にデジタルIDを付与して管理するケースが増えている。例えば、ラルフ・ローレンは全てのプルオーバーにデジタルIDを導入している」とStatlerは話す。
より平凡だが、便利な用途としては、リコールのための食品のトレーサビリティ管理が挙げられる。また、生鮮品が出荷・保管・陳列される温度が把握できるため、賞味期限を個別に設定することも可能だ。IoTがユビキタスで当たり前のものになるまでには、多くのことをしなければならない。Wiliotが開発したようなテクノロジーやプラットフォームは、それを実現する上で必要不可欠と言えるだろう。