IoTは、過去10年間で少しずつ進化し、タグやセンサー、インターネットに繋がったスマートデバイスなどのハードウェアが数多く出現した。その中でも最もクールと言えるのが、「Wiliot」が最近リリースしたbluetoothタグ「Pixel2」だろう。Pixel2は、3コアのARMプロセッサで、切手程度の大きさだ。バッテリーを必要とせず、動きや在庫補充レベル、気温、湿度、商品への異物混入などを検知するセンサーを複数備えている。
Pixel2は、IoTデバイスを数十億台から数兆台規模に増やす能性を秘めている。
「Pixel2は切手サイズのコンピュータだ。電池レスでコンセントに繋ぐ必要もなく、電波で給電する。これまでIoTデバイスは高価だったが、Pixel2によってコストが劇的に下がり、その数は現状の百倍の数兆台に増えるだろう」とWiliotの副社長であるSteven Statlerは話す。
Statlerが語る未来は素晴らしいが、Pixel2だけでは不十分だ。なぜなら、IoTの価値を提供するのはソフトウェアだからだ。だからこそ、Wiliotは最近、コード不要の自動化プラットフォームをリリースした。このプラットフォームは、サプライチェーンや工場、店舗などに設置された数百万台ものデバイスからデータを収集し、企業がビジネスを管理するために使用するプラットフォームで使えるようにようにする。
WiliotのCEOであるTal Tamirによると、このプラットフォームによってIoTは見たりセンシングするだけでなく、推論したり自動化することが可能になるという。
IoTプラットフォーム市場には、ParticleやIBM、アマゾン、マイクロソフト、グーグルやAT&Tなど多くの巨大企業がひしめいている。Wiliotは、これまで5回のラウンドで約2億7000万ドル(約340億円)を調達しているが、同社のようなスタートアップにとって競争環境は厳しい。同社は状況を打開するため、スマートタグメーカーに無償でPixel 2をライセンス供与している。
「我々は、Pixelの普及を加速させる方法を自問自答した結果、クラウド接続とエッジ処理の費用だけを請求すれば、アパレル店舗の商品に10万個のタグを付けるといったスケーラビリティを実現することが可能になるという結論に至った」とStatlerは話す。