フッティルーテンは現在、ノルウェー沿岸で定期運航している船舶について、燃料と電気のハイブリッド仕様への改造を順次進めている。ゼロ・エミッション船の開発は、競争力の強化に向けて新たな重要な一歩になりそうだ。
ノルウェーでは、排出ゼロでない船舶は近く、ガイランゲルフィヨルドとネーロイフィヨルドなどの世界遺産地区に入港できなくなるという事情もある。
フッティルーテンのダニエル・スケルダム最高経営責任者(CEO)によると、サステナビリティー(持続可能性)に関する取り組みとしては「これまでで最も野心的」なこのプロジェクトのために、ノルウェーの研究機関SINTEF(本部トロンハイム)と提携。研究者らは環境への負荷の少ない設計・生産の検討や、利用できる技術の事業化調査などを行う予定だという。
2030年という期限は易しいものではないが、スケルダムはオンライン経済紙E24の取材に、ゼロ・エミッション船は同年までの実現が見込める水準に技術が進歩しているとの認識を示している。
フッティルーテンは沿岸航路で運航している7隻のうち、すでに3隻をハイブリッド仕様に転換。残り4隻も向こう1年〜1年半の間に改造を終える見込みとなっている。
ノルウェーは環境に優しい船舶輸送の開発で世界をリードしており、電気自動車(EV)への急速な移行を背景に電池開発のノウハウも蓄積。ノルウェー西海岸の34港に寄港するフッティルーテンは、ゼロ・エミッション船というコンセプトを試すのに理想的な場となっている。