まずは自分を、信頼のできる友人、応援してくれる友人とみなして向き合おう。自らをいたわるつもりで、新しいストーリーを試しに考えてみてほしい。たとえば、「自分は……」のあとに、「十分な実力がある」「才能にあふれている」「勇気がある」と続けたフレーズを思い浮かべてみるのもひとつの手だ。
本当に望んでいるのは何なのかを見つけ出すためには、自分の心の奥底を見つめなくてはならない。そうして自分の目指すところがはっきりと浮かび上がってきたら、次は、その目標に沿ったストーリー、目標達成を支えるストーリーを新しく描く番だ。
最後に、他者に話すストーリーを新たに作り出そう
いいことを教えよう。自らに語りかけるストーリーは、他者に語りかけるストーリーとなり、ひいては、あなたに対する他者の見方を変える。どんなストーリーを他者に語りかけるか次第で、成功への道が開けることもあれば、他者に除外されてしまうこともある。不公平な扱いを受ければ、やる気は失われ、才能を最大限に発揮する機会すらも奪われてしまう。
ここで、筆者自身の経験をお話ししたい。筆者は何年ものあいだ、自分にはプロのライターになれるほどの才能はなく、誰からも執筆依頼など来ず、自分の記事を読みたいと思う人などいないに違いないと、自分に語りかけてきた。そして、ライターになる代わりに、ライティングの周縁部でキャリアを積んできた。クリエイティブな仕事に極めて近いところで働きながら、本当に望んでいる仕事に本格的に乗り出すことはけっしてなかった。
しかし、自分はライターだと自らに語りかけるようになって、すべてが変わった。
自分のストーリーから隠れず、それを受け入れた。周囲の人に自分のストーリーを打ち明けると、嬉しいことに、積極的な反応が返ってきた。自分のストーリーを公にすれば、人から知ってもらえるようになる。好感を持ってもらったり、信頼されたりするようにもなる。自分はどんな人間で、どのような価値をもたらすのか、理解されやすくなるのだ。
自分のストーリーを確立すれば、すべてが変わる。他の人が自分をどう受け止め、どう報い、どう励ましてくれるのかといった何もかもだ。
忘れないでほしい。人から信じてもらうためには、まずは自分が自分を信じなければならない。言葉にはパワーがある。そして、自らに語りかけるストーリーは、何よりも大事な言葉だ。前向きで、自分のゴールに沿った、そして、他の人に話すストーリーを反映するような言葉を口にするよう心がけよう。