ウィングストップによると、新フレーバーはテルペンやヘンプシード(麻の実)、ストロベリー、カイエンペッパー(唐辛子)を組み合わせたもの。大麻の成分で幻覚作用などがあるテトラヒドロカンナビノール(THC)や、有害な精神作用はないとされるカンナビジオール(CBD)は含まれておらず、「食べてもハイになることはない」と断っている。
米国では同社のように、商品の販促で大麻の風味や成分を呼び物にするのがトレンドになっている。背景にあるのが国内で進む大麻合法化だ。これまでに18州と首都ワシントンが嗜好用大麻を合法化しており、解禁する州は今後さらに増える見通しとなっている。
これにともない、米国の大麻産業の規模は2025年には現在の倍の420億ドル(約5兆3000億円)に拡大すると見込まれている。企業は大麻ブームに乗ることで、消費者、なかでも若者を引き寄せる大きなチャンスが生まれているというわけだ。ピュー・リサーチ・センターの調査によると、大麻の合法化には米国人の9割超が賛成している。
大麻を指す隠語にもなっている「4/20」に合わせた販促を展開しているのもウィングストップだけではない。ハンバーガーチェーンのスマッシュバーガーやファットバーガー、シェイクシャック、クッキーチェーンのインソムニアクッキーズなどもかねて、大麻好きにとって特別なこの日にあやかったプロモーションを行っている。
ウィングストップで最高成長責任者を務めるマリーサ・カロナは声明で「大麻産業が成長するにつれて、ウィングストップもその消費者を引き込みたいと考えるようになりました」と説明。「多くのブランドが4/20を認めるようになってきていますが、わたしたちは今回、ひとつのフレーバー全体をそれにちなんだものにすることで、これまで以上の高みをめざしています」と述べている。
ウィングストップの販促に他社と違う点があるとすれば、その規模の大きさかもしれない。新フレーバーのGlazed & Blazedは全米の1500店舗以上のメニューに登場した。これは裏を返せば、大麻が以前よりも広く受け入れられるようになった証しとみることもできそうだ。
Glazed & Blazedの追加には、大麻ブームに乗ること以外にも理由があるかもしれない。ダイン・ブランズのデリバリー専門店「コズミック・ウィングス」のチートス風味の商品や、バッファロー・ワイルド・ウィングスの新ソース「Doritos Spicy Sweet Chili」の人気からうかがえるように、消費者は手羽先にもっと刺激の強い味付けを求めているようなのだ。
Glazed & Blazedは4月22日までの期間限定で販売された。