待ちに待った日産初の電気SUV、「アリア」は意外に手頃だ

今回試乗した日産アリアはFWD・66kWh「B6リミテッド」


それと、運転席側についているスイッチでセンターコンソールを前後に動かせるので、大変楽しいキャビンになっている。新開発の2スポークステアリングも高級感のある仕立てだ。日産デザインの新たなキーとなる日本伝統の組子モチーフはあちこちで繰り返され、前席フットスペースが障子戸越しのように間接的に照らされるのも新鮮だ。(写真下中央足元。ドア部分にもある)

ハンドル部分の写真
 
新開発の2本スポークのステアリングホイールは操作しやすく、エアコンの操作パネルはウッド調パネルに文字が浮かび上がるように表示されるけど、上手く使えるようになるまでには慣れが必要だ。というのは、スイッチをタッチすると振動によるフィードバックがあるのだが、慣れるまで反応がいまいちだと感じた。またセンターコンソール上にシフトセレクター周りのドライブモードや「eペダル」切り替えもタッチ式だけど、エアコンのスイッチと同様に物理的なスイッチの方が使いやすいではないか。

操作ボタンの写真
 
でも、今回僕が一番感動したのは、国産メーカーとして初のアマゾン「アレクサ」が採用されたこと。「ハロー・ニッサン」と声をかけると起動し、音声認識で対話する日産コネクトは、「エアコンの温度を上げて」とか「充電スポットを教えて」といった音声コマンドが簡単にこなせる。また、乗り込む前のエアコン操作、事前にスマホから目的地をカーナビへと送信、といったサービスもある。

ハンドルのスイッチを押して、聞きたい名曲のアーティスト名と曲名を言うと、何百万の曲が入ったアマゾン・ミュージックを通して5秒以内に流してくれる。早速トライしてみたら、すぐに「イーグルス」の名曲「ホテル・カリフォルニア」を聴かせてくれた。

全体の姿を写した写真

さて、短い試乗に出て、一般道と高速道を走ってみたら、アリアのスムーズさ、静粛性のよさ、そして加速の気持ち良さが印象的だった。66kWhのバッテリー容量で218psの最高出力は、決してテスラみたいに爆発的ではないけれど、パワー的にはライバルのbZ4Xとソルテラには負けていない。普通に一般道を走行する時は、小回りが効くし、ステアリングフィールは割と軽め。しかも乗り心地は多少硬めだけどしなやか。高速道での合流車線でも十分な加速を見せるし、手放し運転が可能なプロパイロット2.0はさすがで、しっかりとスムーズに前方の車両にロックオンして加速したり減速したりする。また、驚いたことに、ブレーキもEVらしくない自然な感じなのが、ありがたい。

今年はすでに多くのEVに乗ったけど、外観、室内の質感や機能性、価格、走り、航続距離などを考えると、アリアは「ベスト・バイ」、というかお買い得かもしれない。「91kWh」の4WD仕様ににも早く乗りたいものだ。


国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン

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