フォックスコンは4月13日、台湾のファブレス部品サプライヤーの「Arqana Technologies」の無線通信事業を非公開の金額で買収し、子会社のカリフォルニア州の集積回路設計会社「AchernarTek」と統合したことを発表した。この動きは、同社とその顧客が自動車向け及び5Gインフラ向けの半導体を開発するのに役立つとフォックスコンは述べている。
AchernarTekとArqanaの台湾とベルギーのユニットは、iCanaという名称の新会社に統合される。「iCanaは当社の知見と斬新なソリューションを共有し、5GコネクテッドのEVという新たな市場の需要に対応する」とフォックスコンは述べている。
世界のEV市場は、2028年までに年平均24%で成長し1兆3000億ドルに達するとフォーチュンビジネスインサイトは予測している。一方、台北に拠点を置くMarket Intelligence & Consulting Instituteは、車載用半導体市場が2020年の350億ドルから2026年には680億ドル(約8.7兆円)に成長すると予測している。
パンデミックの第一波の後、2020年後半に世界の自動車生産が再開されて以来、EVやハイブリッド車の人気に後押しされた自動車用チップの需要は、好調が続いている。
「EVテクノロジー分野の後発組であるフォックスコンは、M&Aやサードパーティーとの提携で需要に対応している」と、調査会社カウンターポイントのBrady Wangは指摘した。
巨大なリソースと柔軟性を活かす
中国の工場でアップルのiPhoneやiPadを製造していることで知られるフォックスコンは、ここ1年でEVへのシフトを進めている。2021年に、同社は米国のEVのスタートアップの「フィスカー」や、世界的自動車製造大手の「ステランティス」と、EV製造と自動車用チップの共同開発についての契約を締結した。
世界最大のEV市場である中国で、フォックスコンは吉利汽車(Geely Automobile)の運営元と提携している。同社はまた、台湾の電動スクーターのGogoroに投資し、同社のEVへの参入を支援している。
「フォックスコンの強みは、フレキシビリティだ」とカウンターポイントの Wangは指摘した。例えば、2020年のパンデミックの初期に、同社の生産ラインは病院向けの人工呼吸器を作るために迅速に切り替えられた。
一方で、Market IntelligenceのアナリストのTu Chia-weiは、「フォックスコンは、大量生産や受託製造、モジュール化の能力を持ち、資本とマンパワーという巨大なリソースを持っている」と分析した。