ビジネス

2022.04.30 09:00

経営危機の時こそ求められる、起業家の姿勢|HENNGE 小椋一宏 # 3

HENNGE代表取締役社長兼CTOの小椋一宏


──多様な人材を採用する際に、大切にしていることは。
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社員が多様になることを推進するにつれ、「共通すべき点は何か」を考えるようになりました。

そこで策定したのが、HENNGEが大切にする企業文化や価値観を体現する行動指針“HENNGE WAY”です。これを共有している人材である限りは、いくら多様であっても良い。そういう前提で採用を行なっています。

また、“HENNGE WAY”も変化し続ける前提で作成しています。あえて“HENNGE WAY 2019”などと年号をつけているのですが、「2019ってなんだか古いよね」と思わせる仕掛けになっています。
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このようにして「ダイバーシティ」をコアに据える組織作りに、いまも挑戦している真っ只中です。

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──HENNGEが目指す展望は。

究極的に目指すのは「我々が変化(へんげ)し続けることで、社会全体が変化し続ける」ことです。

これをミクロ視点で見ると、我々が変化し続けることで、そのパワーをお客様に届けたい。

今であればSaaSを使ったワークスタイルにお客様が移行することで、より会社がダイナミックに変化していく力が得られる。私たちが「テクノロジーを解放する」ことで、お客様に変化する力が生まれると信じています。

もう少しマクロな視点では、我々が「変化する組織の見本」になりたいと思っています。

例えば日本社会というスコープを見てみると、少子高齢化が進んでいて、労働生産性の低下が問題視されています。企業は違う経営スタイルに変わることができなければ、日本は沈没する方向に進んでしまうでしょう。

私たちはその流れを変えたい。

20世紀の日本は、人がどんどん生まれて労働資本が充実していた。為替レートは弱く、労働集約で生み出した製品を輸出すれば外貨が獲得できてハッピーな時代でした。

21世紀では人は減り、為替は強い。当然ながら同じ戦略は通用しません。
 
もっと多様性の中からイノベーションを生み出し、労働生産性を上げ、新しい価値を作り出さなければいけませんが、この方向に変わるための「見本」が日本にはない状態です。

我々は、社員の四分の一が外国人です。SaaSをとことん使いこなして生産性を上げ、まだ規模は小さいながらも上場企業にまでなることができました。

会社をもっと成長させることで影響力を増し、「HENNGEを見本にしたらいい」と思われるような存在になりたいと考えています。

また、スコープを世界に広げると、日本が世界最先端の高齢化社会として直面している課題に、将来的には同じように周りの国々も直面するでしょう。

そのときに我々が先端事例として「変わり続ける」パワーを届けるお手本になれれば、より大きな社会的意義も作り出せるのではないかと思っています。

そのために「テクノロジーの解放」という理念に基づき、これからもお客様にSaaSを使ったワークスタイル変革を届けていきたいと考えています。


小椋 一宏(おぐら かずひろ)◎1975年生まれ。HENNGE代表取締役社長兼CTO。一橋大学在学中の1996年に創業。一貫して技術部門のトップとして会社を牽引し、代表取締役社長とCTO(最高技術責任者)を兼任。2010年ごろからクラウドセキュリティサービス「HENNGE One」を立ち上げ。2019年10月には東証マザーズ市場上場を果たした。

文=中山航介 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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