米国のコロナ抗体陽性率は約6割、今年2月までに急上昇

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米疾病対策センター(CDC)は4月26日、国内の新型コロナウイルスの血清有病率(抗体保有割合)に関する調査結果を公表した。米国人の約57.7%、未成年の約75%の血液中に、過去に感染していたことを示す証拠が確認されたという。

CDCは毎月、国内で行われた検査のサンプル6万件以上について、血清抗体検査を実施。ワクチン接種ではなく、自然感染によってのみ作られるタイプの抗体の有無を調べている。

昨年12月には約33.5%に確認されていた抗体陽性(抗体保有)は、今年2月には約57.7%に増えていたという。これについてCDCは、変異株のオミクロン株が主流となり、その流行が驚くほどの勢いで全米各地に広がったことによるものだと説明している。

つまり、この間に24ポイントという急上昇を示したのは、昨年12月上旬から今年1月中旬にかけて、感染者が記録的な勢いで急増したことを反映しているという。

オミクロン株は、それ以前に主流となったその他の変異株を上回る速さで急速に感染を拡大。昨年12月上旬には約8万7000人だった1日あたりの感染者数は、今年1月中旬には80万人以上に急増していた。

2月の調査時点で抗体保有割合が最も高かったのは若年層で、12歳未満が75.2%、12〜17歳は74.2%だった。50歳未満の成人では63.7%、重症化リスクが高い高齢者層では、わずか33.2%となっていた。

未成年のワクチン接種率が成人に比べてはるかに低いこと、高齢者は感染を防ぐため、慎重に行動する傾向があることが、これらの結果につながっているとされる。

6割は再感染しにくい?


CDCによると、新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以来、検査で陽性が確認された人は4月24日現在で累計およそ8080万人。ただ、すべての感染者が検査を受け、陽性を確認しているわけではなく、すべての検査結果が報告されているわけでもないことから、実際の感染者はこの数を大幅に上回る可能性が高いとされている。

一度ウイルスに感染した人には抗体ができ、再感染に対してある程度の防御力がつくとみられる一方、新型コロナウイルスに対する“自然免疫”の強さについては、研究で示される結果はまちまちだ。

CDCの専門家らは、「ワクチン接種と過去の感染により、米国人の多くが新型コロナウイルスに対する高い防御力を持っていると考えられる」と指摘する。だが、最新の調査結果で示された「抗体を保有する57.7%の人たち」は、必ずしもその全員が、感染からから身を守るのに「十分なだけの抗体を持っている」わけではないだろう。

感染者はまた増加傾向


米国ではこのところ、新型コロナウイルスの感染者が再び増加傾向にある。今年1月のピーク時ほどではないものの、4月第1週に平均およそ3万人だった1日あたりの感染者数は、第3週には同4万4000人に増加している。

ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策調整官、アンシュ・ジャーは、主流となっているオミクロン株のなかでも派生型「BA.2」への置き換わりが進んでいることが要因と考えられるものの、過去に起きたような急激な増加は予想していないと述べている。

編集=木内涼子

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