──3つ目は何でしょうか?
「学び続けること」です。
起業とは、世界が変わっていくタイミングで、その“変化”から生まれたギャップを見つけ、そこに対して解決策を自ら作り出すことです。つまり起業にはギャップを発見する力が必要不可欠なのです。
ではギャップを発見するためにはどうすれば良いか。それは、ひたすら自分をアップデートし続け、他の人が気づいてないギャップに気づく力を身につけるほかありません。
アウトオブデート(時代遅れ)してしまったら、起業家としての役割は終わり。それくらいの覚悟で学び続けることが大切です。
また、「多次元の学び」も大切です。
自分の得意分野が一つしかなかったら、物事を多次元的に見ることができず、新しい価値を生み出すことはできません。
学ぶ分野は多方面にあったほうがいいし、さらには時代の変化によって要らなくなる分野が出てくることも見越して、分野を増やし続けたほうが良い。日々新しいことを吸収し、常に「毎日素人」であり続ける習慣が大切だと思っています。
起業家には常に「新しい学びの次元を増やす活動」と、「今すでにある学びの次元をさらに伸ばす活動」を続けることが求められるのではないでしょうか。
仮説の「99%は間違い」前提で戦う
──事業領域を決めるうえで、大切にしていることは。
ビジネス上で立てた仮説は「99%間違えている」と思ったほうがいいでしょう。
その時代ごとで「隙間があるかもしれない」と思えるニッチやギャップを見つけ、試してみて、間違えることで成長する。事業選定はこの繰り返しをどれだけ効率的にできるかのゲームです。
──まずは試すことが大切ということでしょうか。
前提としては、猛勉強して「この分野では俺が一番詳しい」くらいの状態で、それでも「隙間がある」と思えるかどうか。誰と話しても説得することができるくらいの自信ある仮説かどうかが大切です。
それでも、いざやってみたら「99%間違えている」わけですが、絶対の自信がある仮説でなければ、正しかったとしても困難を突破していくことはできないでしょう。
小椋 一宏(おぐら かずひろ)◎1975年生まれ。HENNGE代表取締役社長兼CTO。一橋大学在学中の1996年に創業。一貫して技術部門のトップとして会社を牽引し、代表取締役社長とCTO(最高技術責任者)を兼任。2010年ごろからクラウドセキュリティサービス「HENNGE One」を立ち上げ。2019年10月には東証マザーズ市場上場を果たした。