同社の代表取締役社長兼CTOを務める小椋一宏氏に、起業家の素養や成長事業の創り方などについて、DIMENSIONビジネスプロデューサーの中山航介が聞いた(全3話中1話)
──起業家にとって重要な素養を3つ挙げるとするとなんでしょうか?
まずは「自分とは異なる価値観を持つ集団に身を置いた体験」です。
その前提には、「新しい価値を生み出す=異なる価値観を持つ人同士をつなぐこと」という考えがあります。
新しい価値を生み出すことが求められる起業家には、異なる価値観を持つ人同士をつなぐ力が必要になる。
そしてその力を獲得するためには、異なる価値観を持つ人・ステークホルダーに想像力を働かせる力、つまり「自分とは異なる価値観を持つ集団に身を置いた体験」が大切になってくるのです。
──なぜそのような考えに至ったのでしょうか?
私は自分のことを得意分野があまりないタイプの経営者だと認識しています。ただ、唯一変わった部分があるとすると、幼少期は海外に住んでいたこと。あとはコンピューター好きの“理系オタク気質”な少年だったのに、文系学部しかない大学に入ったこと。
つまり「自分とは異なる価値観を持つ集団に身を置いた体験」に幼少期から触れてきました。
それらの経験を通して、自分とは全然違う価値観を持つ人たちが存在し得ることを理解しました。また、異なる価値観が混ざりあったときの苦労、そして創造力の大きさも知りました。
私が創業時から「全然違う価値観を持った人達と一緒に会社を作ろう」と考えた根源にはその原体験があり、私の強みの1つだと思っています。
起業家は“アウトオブデート”したら終了
──起業家にとって重要な素養、2つ目は。
自らの努力で問題を解決し、最終的に目標を達成する「自信」でしょうか。
起業というのは、勝利の方程式がまだ立っていないところで試行錯誤を続け、自分なりにそれを編み出す必要があります。誰かがすでに上手くやっているような領域で、人のマネだけをしていては勝てません。
この過程では当然ながら困難が数多くあるわけなので、試行錯誤を続けていれば答えが見つかるはずだという「自信」が持てるかどうかが大切です。
私の場合は、先ほどの「自分とは異なる価値観を持つ集団に身を置いた体験」をなんとか乗り越えたこと、勉強などで頑張って結果を出したことなどが積み重なって「自信」を得たように思います。